与野党、知事会食問題で綱引き 自民、百条委設置へ攻勢 与党は「法的に問題ない」と拒否 来年の県議選をにらみ政局に


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 玉城デニー知事が「万国津梁(しんりょう)会議」の設置支援業務を受託した事業者と正式な契約を結ぶ前日に会食していた問題を巡り、15日の9月定例会最終日を前に与野党間の駆け引きが続いている。選挙で協力態勢を組む自民、公明、維新が「疑惑は解明されていない」として、百条委員会の設置を求め緊急動議の提出を視野に攻勢を強める。与党側は「法的に問題がない」として応じない構えだ。15日には各派代表者会が予定されているが意見の一致を見る可能性は低い。会食問題は、来年6月の県議選を控え、政局絡みの様相を呈してきた。

 「県民の知る権利が奪われる」。11日、県議会で記者会見した沖縄・自民の島袋大県議は与党に対する怒りをぶちまけた。島袋氏はこれまで3度、与党側に百条委員会設置に向けた話し合いの場を求めてきた。しかし与党側は「各種常任委員会などで自民の意向は確認している」(照屋大河氏)として話し合いを拒否した。与党内には「自民は県議選を意識して会食問題を引き延ばしたいだけだ」(与党幹部)との意見が根強く、自民の動きをけん制する。

 11日の議会運営委員会で自民側は、提出していた百条委員会設置の動議を、否決される公算が大きいとして取り下げ、全会一致に向けて与党に協力を求めた。自民は議案の否決によって事態が幕引きされることを回避し、問題を引き延ばすことで玉城県政や与党に対してさらなる打撃を与えたいとの狙いがある。

 一方、与党側は一般質問や各種常任委員会で会食問題に対する質疑の時間を十分に取るなど野党側に譲歩したとの立場を取る。ただ、与党内からも玉城知事に対して「脇が甘い」や「意識が低い」などと批判の声は多く、与党としても苦しい立場が続く。

 与党幹部の一人は「知事の意識の低さが最大の問題であって一連の行動が法に違反しているものではない。百条委員会はあくまで県政の事務に重大な瑕疵(かし)があり、法的に疑義が生じた時に設置するものだ」と強調した。

(吉田健一)