亡き夫と共に完走25回 「走っていると夫をそばに感じる」伊平屋ムーンライトマラソンで完走の金城文子さん


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25回完走目指し走る金城文子さん=12日、伊平屋村田名

 【伊平屋】「星の声援、月の伴走」をキャッチフレーズに第25回伊平屋ムーンライトマラソン(主催・同実行委員会、共催・琉球新報社)が12日、伊平屋村の友愛と健康の広場を発着点に開催された。台風19号の接近で開催が危ぶまれたものの、レース時は月が顔をのぞかせ、記念大会に挑むランナーと島を輝かせた。ハーフも合わせ959人が出走し、862人が完走した。

 名護市の金城文子さん(64)は25回連続でフルマラソンを完走した。レースで苦しい時を支えたのは亡き夫、幸雄さん=享年38歳=への思いと実母の声援だった。閉会式では25回連続出場の特別表彰を贈られ「夫のためにも走り続ける。おととしまで伊平屋を訪れ応援してくれた母にプレゼントしたい」と喜んだ。

 30年余前、幸雄さんが相談なしに申し込んだことをきっかけに、金城さんはマラソンに出場するようになった。申し込んだ全ての大会を欠場したことはない。夫の分までレースに挑み、100キロのウルトラマラソンも含め国内外で90回以上の大会に出場した。

 3人の子どもに恵まれたが、同年代の幸雄さんは病のため亡くなった。「走っていると、夫をそばに感じる。レースで苦しい時も背中を押してくれている」

 1人で走り続ける金城さんのため母の内間富枝さん(94)=嘉手納町=が駆け付け、声援を送ってきた。ムーンライトマラソンも第1回から現地で応援し、金城さんも6回優勝した。ただ、おととしから高齢を理由に内間さんは応援を控えている。金城さんは「連続出場の表彰状は母へのよいプレゼントになった」と笑顔を見せた。今大会は女子5位、4時間8分7秒だった。

 全国のランナーの知り合いも増え、伊平屋での再会を楽しみにする。「月光を浴びて走るこのマラソンは特別感が強い。これからも走り続ける」と力強く宣言した。

故・金城幸雄さん(妻文子さん提供)
金城文子さん