海外からも人気 サッカー「ドリブル塾」 奥平卓也さん SNSきっかけ


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 競技の魅力を子どもたちに伝えようと元銀行員の奥平卓也さん(28)が本島南部を拠点に運営しているサッカーのドリブル塾「レガテ」が海外から注目されている。奥平さんがSNS(会員制交流サイト)で発信したドリブルの実演解説の動画を見た海外のサッカー関係者から声が掛かり、昨年8月のタイでの開催を皮切りに5カ国を訪れ、子どもを対象にした塾を開催。ことしは欧州でも開いた。奥平さんは「指導を通じ、多くの子どもたちを笑顔にすることができる」と手応えを感じている。

(安富智希)

タイでドリブルを指導する奥平卓也さん(左)=2018年8月(奥平さん提供)

 レガテは那覇と豊見城、南風原の3市町で140人のサッカー少年・少女を指導している。塾のPRのため、ネイマールら有名選手のドリブルテクニックなどを実演して詳説した動画を作成。インターネット上に投稿したところ、昨年8月ごろ、タイの指導者からフェイスブックを通じて「指導してほしい」と連絡があった。そのころ動画がタイで拡散され、再生回数は2万を超えていたという。

 タイでの指導の様子を再び動画サイト「YouTube」に投稿すると、他の国からも引き合いが続いた。フィリピン在住の日本人コーチから声が掛かり、ストリートチルドレンの子どもたちを指導した。奥平さんは「サッカーの指導を受けたくても、貧しくて受けられない子どもたちがいる」と衝撃を受けた。

 フィリピンでの指導後、動画の発信により力を入れるようになった。「動画を通してなら指導を届けられる」と考えてのことだ。脳裏には上達して笑顔になった子どもたちの姿がある。海外で指導した子どもたちから「また来て」とメッセージが届くという。

 19年夏には米国、ドイツ、スペインの指導者から招待された。欧州の強豪国で感じたのは子どもたちのメンタルの強さだ。「子どものころから他チームに引き抜かれたり、解雇されたりという環境でサッカーをしている。勝負に対するこだわりが非常に強い」と指摘する。指導法が確立されている強豪国での塾の開催には不安もあったが、行く先々で感謝の言葉をもらった。「どの国もサッカーに対して本当に熱心だった」と振り返る。

 海外の経験で気付いたことも多い。「足元の技術は日本、沖縄の子どもたちも世界で十分通用する。ただ、試合で実践できるかはメンタルの強さが重要になる」と話し、沖縄での指導に反映させていく考えだ。「指導した子どもたちがワールドカップを掲げる姿を見届けるのが夢ですね」と笑みを浮かべた。