高校生がウニの完全陸上養殖に挑戦 乱獲で激減したシラヒゲウニ 資源回復へ技術確立目指す


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ウニの人工授精実習で放卵の様子を観察する沖水生と高嶺小学校の児童ら=16日、沖縄水産高校

 沖縄水産高校(糸満市)総合学科の海洋生物系列では2015年からシラヒゲウニの完全陸上養殖に挑戦している。種苗生産から成体になるまで飼育する取り組みは全国でも同校のみだ。最盛期だった1975年に2200トンだったシラヒゲウニの漁獲量は、乱獲などにより2013年には2トンまで激減。個体数の増加による水産資源の回復を目的に始まった陸上養殖の研究は進み、現在はウニの風味や成長に適した餌の模索など、将来の商業的な実用化を目標に技術の確立を目指す。

 完全陸上養殖を目指す以前から、沖縄水産高校では20年以上に渡ってシラヒゲウニの種苗生産に取り組んでいる。16日には高嶺小学校(糸満市)5年生の児童43人が同校を訪れ、学習の一環として2年生19人と人工授精の実習に参加。ウニの構造や授精の様子を観察した児童らからは歓声が上がった。

 大量生産を可能にする商業的な実用化に向けた研究で、ウニの生育に必要な技術はほぼ確立できた。しかし、これまで苦労していたのがウニに与える餌で、採集に手間がかかる海藻の代わりとなる、身近な陸上植物の発見に向けて試行錯誤を繰り返した。

 その結果、奥田賢治教諭によるとレタスやキャベツなどを与えることで「身に磯臭さが無くなり、成長度合いも良い」ことが分かった。中村信行教諭と共に「資源の回復や実用化への目標はもちろん、廃棄されるレタスやキャベツを餌として有効活用できる可能性もある」と期待を話し、意気込んだ。

 沖水2年の與那覇幸村さんは種苗生産など同校の取り組みについて「企業や社会でもっと広まっていくことで個体数の復活につながってほしい」と力強く語った。