志多伯さんの絵画、手帳に 「花火」大罪の作品採用


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沖縄手帳に採用された「花火」の原画を持つ志多伯逸さん(左)と妹の結さん=17日、浦添市の若竹福祉会

 沖縄独特の暦や記念日、歴史年表を盛り込んだ沖縄手帳。2020年版の裏見開きには、脳性まひで若竹福祉会に通う志多伯逸(すぐる)さん(25)=宜野湾市=が描いた絵画「花火」が掲載されている。真っ黒い背景に不透明インクのペンで細やかに再現された色とりどりの花火が、手帳を持つ人の心を優しく癒してくれる。

 創刊26年目を迎える沖縄手帳は2012年から県内の障がい者が手掛けたアール・ブリュット作品を掲載している。アール・ブリュットとは、フランス語で教育や技巧、流行にとらわれず、湧き上がる感情のまま自由に表現した「生(き)の芸術」を意味する。発行人の真栄城徳七さんは「手帳を持つ人が絵を見てほっとするような、優しい気持ちになってほしい」と話す。

 志多伯さんは小学生の頃に絵を描き始めた。初めはコピー用紙に鉛筆で描いていた。高校時代に美術の先生から黒画用紙に描くことを勧められたことがきっかけで、熱中して何百枚もの華やかな花火を描いた。

 採用された作品は、絵の左側にある白い線が海岸線を表現し、海辺から見える花火をイメージした。「いろんな人に見てもらいたい」と語る志多伯さんの作品が、多忙な日々に手帳を使う人に癒やしを与える。

 沖縄手帳はハンディサイズが4色あり、各977円。ノートサイズは2色で1375円。県内書店やインターネットで販売している。