那覇市の各地域に伝わる芸能などを披露する地域文化芸能公演「TSUNAGU(つなぐ)IV」(那覇市主催)が20日、同市識名の市民体育館で開催された。市指定民俗文化財に指定されている芸能など7組が出演した。若年層を引きつけようと映像も取り入れた。背景の壁に巨大な首里城などを映し、王国時代や沖縄戦からの復興を経て芸能が受け継がれてきたことを表現した。
地域の芸能は、市指定民俗文化財である首里末吉町の獅子舞、首里のクェーナ、字国場のウズンビーラ、首里王府の路次楽のほか、上間伝統芸能保存会による棒術・獅子舞が披露された。王国時代を表現する場面では組踊立方(役者)の宮城茂雄さんが組踊「銘苅子」に登場する天女の舞を披露した。
最後は創作エイサーなどを披露する「NEO Ryukyu」の演舞で未来を表現した。背景に「芸能の素晴らしさを感じたのなら、あなたも行動してほしい」という字幕を映し、継承を呼び掛けた。
字国場のウズンビーラは、国王の前で田を耕す勝負に勝ち、識名園からカチャーシーを踊りながら国場に帰った様子を芸能化したと伝えられている。国場民俗芸能保存会の指導を受けた沖縄尚学高校地域研究部の生徒たちが踊った。十数年前に同校の依頼を受けて指導し、現在まで続いているという。同保存会の金城政則会長は「地域でウズンビーラを踊る人は減っており、沖尚の生徒たちが継承しているのはありがたい。地域の若い人にもつないでいきたい」と話した。
市指定民俗文化財に指定されている芸能は10件あるが、今回、担い手不足で出演できなかった団体もあるという。
公演を演出した西平博人さん(45)は「公演を機に興味を持ち、参加することにつながってくれたらいい」と話した。
公演を鑑賞した瑞慶山優子さん(30)は「鳥肌が立つくらいすごかった。子どもたちにも見てほしい」と話した。