平和への思い体現 志田房子・真木の会公演 上皇ご夫妻も観覧 東京・国立劇場


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雑踊「金細工」を踊る志田房子(中央)と真木(右)、知念捷=7日、東京の国立劇場

 【東京】琉球舞踊重踊流の志田房子初代宗家(国指定重要無形文化財「琉球舞踊」保持者(総合認定))と、真木二世宗家らによる公演「志田房子・真木の会」が7日、東京都の国立劇場で催された。間もなく芸道80年を迎える房子が先達から受け継いだ技芸と、戦後の混乱期から慰問公演等に立つ中で積み上げた平和への思いを体現し、次代へつなげる舞台となった。

 上皇ご夫妻も観覧された前半は「かぎやで風節」の斉唱で幕開け。古典女踊り「稲まづん」を基にした創作「穂花」では、令和の日本の発展を願った。

 創作「鎮魂(しずたま)の詞」は2000年の沖縄全戦没者追悼式前夜祭が初演だ。伝統祭祀を思わせる舞に、日本が戦争をすることなく幕を閉じた平成をたたえ、令和も恒久平和が続くようにとの祈りを込めた。

 第2部は娘で弟子の真木が踊る「あかゆら」で開始。房子は雑踊りを、真木は房子の創作作品を交互に踊り、技芸の継承を印象付けた。星空の下を舞台にした「あかゆら」ではワイヤーを使って流れ星を演出したが、静かな場面だったこともあって装置が発する音が気になった。トリを飾った玉城盛重師のつくった「金細工」は、真木が真牛、知念捷が加那兄役。十八番のアンマーを房子ならではの演出で舞うと、会場は指笛混じりの歓声で沸いた。