地域でサッカー少年育む 名護ドルフィン25年 子の熱意力に親ら運営指導


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チーム内ではやっているポーズを決める名護ドルフィンの児童、保護者ら=15日、名護小学校

 【名護】「体であたれ」「ボールを見るな」。日が傾く名護小学校グラウンドに保護者の声が響く。子どもたちは無心でボールを蹴る。名護小学校のサッカーチーム「名護ドルフィン」の練習風景だ。月謝制で運営するクラブチームではなく、保護者や地域住民が「親心」で守り運営してきた“雑草チーム”。今年、創設25周年を迎え、地域と子どもたちを結ぶ存在にもなっている。

 ドルフィンの運営は保護者や地域住民がボランティアで担う。監督は名護中、高校サッカー部出身の玉城尚志さん(40)。コーチ陣はバスケットボール経験者やラグビー経験者などさまざま。仕事の合間をぬって練習に参加し、指導する。

 コーチ兼保護者会会長の玉城竜さん(37)は「子どもの頑張る姿が原動力。子ども以上に親が必死でサッカーを勉強しているんじゃないかな」と笑う。審判員資格も取得した。

 ドルフィンのモットーは「楽しむ」こと。ボールを扱う技術を磨き、ボールをコントロールできる喜びを教える。近年は専門的に学びたい、とクラブチームに通う子が増加し、ドルフィンも年々、部員が減っている。だがモットーは変えない。玉城監督は「戦術や体幹は大きくなってからでも大丈夫。サッカーが好きな気持ちを真っすぐ伸ばしたい」と話す。

 子どもたちはそんな親心に応え、約160チームがしのぎを削った2017年の県大会ではベスト16まで勝ち上がった。今年、監督の息子でもありキャプテンの玉城尚良さん(12)は県選抜にも選ばれた。

 11月からは県大会予選が始まる。「ドルフィン旋風(せんぷう)」を巻き起こそうと「目指せベスト4」を合言葉に親子そろって今日もボールを追い掛けている。