海中ロボットに電気自動車… ことしの産業まつり見どころは 〈焦点インタビュー〉県工業連合会会長・古波津昇氏


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古波津昇県工業連合会会長

 「うちなーの未来をつくる県産品」をテーマに第43回沖縄の産業まつり(同実行委員会主催)が25~27日、那覇市の奥武山公園と県立武道館で開催される。実行委員会会長の古波津昇県工業連合会会長に産業まつりの意義や見どころ、県内製造業の課題と展望を聞いた。

 ―産業まつりの意義は。

 「県内の製造業者が、自らの技術や特色を最大限に生かして開発した商品が一堂に会する機会となる。企業側の宣伝は企業の伝えたいことが強くPRされるが、産業まつりの会場では各社の商品を目で見て、手に取って、直接良さを確認できる」

 「企業にとってはマーケティングの場でもあり、県内外のバイヤーやメーカーに自社の製品を売り込むチャンスになる。最近はインバウンドの観光客や県民の若い親子連れなど一般の人も参加しており、多くの人が楽しめるイベントになっている」

 ―今回の見どころは。

 「企画展の海洋産業展は沖縄が広大な海域を有し、多種多様な海洋資源が存在する地域であることや、これら資源が将来的に県経済に大きな効果をもたらす可能性があることを紹介している。武道館の入り口前の広場に設置したミニプールでは海中ロボットの操作体験もできる。県産の電気自動車の展示や自動走行の実演もある」

 ―県内製造業の現状や課題は。

 「県内総生産に占める製造業関連の割合は約5%で、全国の約20%と比べて低い。しかし、最近は食品関連だけでなくバイオ製品、金型部品、電気自動車など多彩な製造業者が根付き、広がりが出ている。うるま市の国際物流拠点産業集積地域には県外の電子・機械分野の企業が進出しており、変革が起きている」

 「工業連合会は県産品奨励運動を実施し、利用促進を呼び掛けている。公共事業でも県産の建材利用を推進しているが、まだ利活用の余地はある。県内にない製品を県外から入れるのはいいが、県内にもあり価格でも劣らないのに知られていないため、使われないこともある。企業の営業努力も必要だが、行政の協力も得てさらに普及させたい」

 ―県内製造業を発展させるために何が必要か。

 「工業連合会で力を入れたいのは、国立研究開発法人産業総合研究所の誘致だ。県内産業の技術向上に大きく貢献すると考えている。個人的な考えだが、県外で台風災害が大きな問題となりつつある中、沖縄型住宅の強みなどを分析し、県外に普及させられないかと考えている」

 「今年も10月に台風19号が甚大な被害を与えた。被害に遭われた方々には深くお悔やみを申し上げ、一刻も早い復旧を祈っている」
 (聞き手・外間愛也)