小野伸二、ピッチ内外で増す存在感 FC琉球移籍2カ月 40歳、背番号7が挑む挑戦とは…


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ゲーム形式の練習で、チームメートに指示を飛ばすFC琉球の小野伸二(右)=24日、南城市陸上競技場(喜屋武研伍撮影)

 世界の舞台で活躍した、日本サッカー界の「天才」小野伸二がFC琉球に移籍して2カ月がたった。「沖縄をサッカー大国にしたい」。その思いだけで最南端の地を選び、ピッチ内外で潤滑油的な存在として活躍している。小野は「簡単なことじゃないが、みんなで力を尽くしたい」と淡々と語った。背番号7を背負う40歳の挑戦は続いている。

 J2残留が懸かった大一番のホーム大宮アルディージャ戦(27日)を前にした24日、琉球の選手たちは南城市陸上競技場で練習に汗を流した。終始ピリッと引き締まった空気に包まれる中、小野は全力でピッチを駆け回っていた。

 ゲーム形式の練習では、小野が前線の選手に指示を飛ばしていた。練習が終わると若手選手には積極的にアドバイスをし、時折冗談を言って笑い合っていた。「試合に出てる選手、出てない選手含めてのチーム。全員のモチベーションを常に高いレベルに置いておきたい」と語った。

 8月31日の岐阜戦から7試合連続で先発出場した。途中出場を含めて9試合、計493分間ピッチに立って琉球の攻撃的サッカーを支えている。上里一将と共に2ボランチで出場し、中盤でゲームを落ち着かせ、時には相手の意表を突く鋭いパスでチャンスをつくる。小野がピッチに立つと選手たちの表情はさらに引き締まり、ゴールへ向かう勢いが増している。

 “小野効果”はプレーだけにとどまらない。初出場したホーム横浜FC戦は、過去最多の1万2019人が応援に駆けつけた。一体となった会場は熱狂の渦に包まれ、地鳴りのような応援が続いた。「もっとレベルが上がれば、日本で有名な選手が対戦相手としてやってくる。そしたらもっとお客さんも増えるだろう」と期待を込めて話した。

 これまでは度重なるけがで出場機会が少なくなってきていたが「良い調整ができている」と好調をアピールする。

 次節の大宮戦は琉球が勝利し、下位チームの条件次第ではJ2残留が決定する。「自分たちの力をしっかり示し、全員で喜びを分かちあいたい」とはじけるような笑顔で語った。
 (喜屋武研伍)