親の低所得改善訴え 九弁連シンポ 子どもの貧困議論


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子どもの権利の視点から貧困問題を議論した九州弁護士会連合会第72回定期大会シンポジウム=25日、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 九州弁護士会連合会の第72回定期大会シンポジウムが25日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開かれた。「子どもの貧困のない社会を目指して~すべての子どもが健やかに成長し発達する権利を実現するために」をテーマに、子どもの権利を奪う貧困の現実や課題について議論した。沖縄大学の山野良一教授らが登壇した。一般を含む400人以上で満席となり、関心の高さが表れた。

 山野教授は、日本は失業率が低いにもかかわらず子どもの貧困率は高く、働いても貧困から抜け出せない状況を説明。1990年代の労働法制改悪に伴い、非正規雇用が増えて所得が減った上、近年は社会保険料の負担が増え「貧困の子どもたちはさらに増える状況にある」と指摘した。

 貧困対策では教育が重視され、子どもが頑張ってそこから抜け出すモデルが提示されるが「子どもは今の苦しさを何とかしてほしいと思っている。親の低所得こそ改善しなければならない」と訴えた。

 パネルディスカッションではNPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆいの金城隆一代表理事ら4氏が登壇した。金城氏は「現場には絶対的貧困と言っていいほど厳しい子どもたちがいる。家族だけでなく、社会がこの子たちの権利を守らなければならない」と強調した。