EV蓄電池を再利用 自動走行システムも紹介 ものづくりネットワーク沖縄


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ものづくりネットワーク沖縄が開発を進めている非常用電源装置を紹介するビーグル開発部の伊口明高グループ長(左)、宮城秀康さん=25日、那覇市の奥武山公園

 県産の電気自動車(EV)製造などを手掛けるものづくりネットワーク沖縄(うるま市、金城盛順代表理事)は、電気自動車のバッテリーをリサイクルして非常用の電源として活用できる仕組みや、小型のシニアカー(ハンドル操作型電動車いす)が自動走行できるシステムの開発について産業まつりで紹介している。いずれも試作段階だが、沖縄発で広く活用されるシステムになることを目指して開発を続けている。

 非常用電源は劣化して廃棄された電気自動車のリチウムイオンバッテリーを再利用し、災害時などに利用できる機器として、バッテリーと充電器、充電を制御する機器、コンセントなどをひとまとめにした形に整えた。

 現状では同バッテリーをリサイクルする仕組みが十分に整っておらず、管理型最終処分場で埋め立てるしかない。現在、県内で民間が利用できる処分場はなく、県外で処分する必要があり、費用も高額になる。

プログラムされたコースを自動走行するシニアカー

 だが、自動車のバッテリーとしては使えなくても、一般的な家電などを動かすには十分な電力を供給できるという。

 ものづくりネットワーク沖縄ビーグル開発部の伊口明高グループ長は「将来的に電気自動車が普及すれば供給量も増える。近年は台風災害も大きくなっており需要も見込める。5年後、10年後を目指し、開発を進めたい」と語った。

 シニアカーの自動走行システムは、車両に取り付けた赤外線センサーで周囲の障害物の位置を特定し、あらかじめプログラムしたコースを自動で走る。公道ではなく公園や観光施設、農場、工場などでの利用を想定し、安定的に走行できる仕組みを開発中だ。

 現在は1人乗りのシニアカーを利用して試験走行を実施している段階だが、将来的にはより大きな車両で複雑なコースを走れるようにすることを目指す。

 開発を担当する土屋査大さんは「自動走行が実現すれば、企業などの省人化や生産性の向上などにつなげられる」と意義を語った。