米軍、嘉手納で降下訓練強行 防衛相「大変遺憾」 伊江では区域外落下


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
上空からパラシュートで降下する米兵=29日午後6時47分、嘉手納町の米軍嘉手納基地

 米空軍は29日、日米特別合同委員会(SACO)に反して沖縄の米軍嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施した。嘉手納基地での同訓練は今年に入り4回目で、年間での回数が1996年のSACO合意後で最多となった。河野太郎防衛相は防衛省で記者団に対し「日米同盟に影響を与えかねない、大変遺憾な出来事だ」と不快感を示した。米海兵隊は同日、伊江村の米軍伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練を実施し、海兵隊員2人が提供区域外にある畑と県所有の伊江島空港に降下した。 

 県所有の空港にパラシュート降下訓練中の米兵が降下したのは初めて。伊江島空港は定期便はなく届け出制で個人利用が多い。

 県は30日、川村裕外務省沖縄担当大使と田中利則沖縄防衛局長を県庁に呼び出し、抗議する。SACO合意で陸上でのパラシュート降下訓練は米軍伊江島補助飛行場に集約され、嘉手納基地の使用は、伊江島補助飛行場で実施できない「例外的な場合」に限られている。河野防衛相は今回の場合は「例外的な場合」に当たらないとの認識を示した。

 空軍は29日、県に対し、天候や海の状況を理由に伊江島で実施できないと説明していた。

 一方、海兵隊は27日時点の天気予報や海の状況に基づいて伊江島補助飛行場での訓練実施は難しいと判断し、いったんは嘉手納基地での訓練を計画していた。だが、当日の天候から安全上の許容範囲だと判断し、伊江島補助飛行場での実施を決めたという。

 嘉手納基地では午後6時1分ごろ、MC130J特殊作戦機が離陸。午後6時40分すぎ、兵士がパラシュートで同機から相次いで降下した。午後7時半ごろまでに4回に分け、少なくとも20人が降下した。嘉手納基地での降下訓練は5月21日以来。日没後の訓練は2017年に次いで2回目。

 伊江島では29日午後1時40分ごろ、パラシュート降下訓練中の海兵隊員2人が着陸予定地を外れ、伊江島空港と付近の畑に降下。空港内の降下地点は米軍補助飛行場のフェンスから約1.5キロ、西江上の集落から約600メートルの距離で、真謝の地域上空を横断したとみられる。海兵隊は本紙の取材に「風でコースを外れ、伊江島の民間飛行場に着陸した」と説明した。