米軍は29日、伊江島と米軍嘉手納基地で相次いでパラシュート降下訓練を強行した。伊江島では提供区域外にある伊江島空港の敷地と、空港から近くの畑に兵士が落下。同日夜は周辺自治体の中止要請を無視し、嘉手納基地で今年4回目の降下訓練を実施した。住民からは「米軍のやりたい放題だ」「日米合意がねじ曲げられている」と場所を問わず訓練を強行する米軍の横暴や、それを止められない日本政府の弱腰に怒りと憤りの声が上がった。
【伊江】米軍によるパラシュート降下訓練で兵士が伊江島空港に落下した事故を受けて29日、伊江村民からは「とんでもないことだ」と憤慨する声や、落下地点について「方角的にもあり得ない」と疑問視する声が上がった。異例の事態を受けて村議会は、急きょ全議員を招集して現場を確認した。
降下訓練による民間地への人・物の落下や騒音に日常的に悩まされている同村。25日には米軍MC130J特殊作戦機から落下した部品が米軍伊江島補助飛行場で見つかっていたことも判明したばかりだった。
伊江村議会の渡久地政雄議長は29日、議会運営委員会を開き部品落下に対する抗議決議を検討している最中に、伊江島空港への落下の一報を受けた。
降下の現場を確認すると、「民間空港に落ちるなんてとんでもない。17年間議員をしているが初めてだ」と怒りをあらわにした。
一方、伊江島補助飛行場近くに長年暮らす平安山良尚・真謝区長(58)は「風でコースを外れた」とする米軍の説明について「補助飛行場から2キロ近くあり違和感がある。空港内は滑走路そばに牧草地を持つ人が作業することもある。排水工事中で作業員もいる。人や物の落下は予想できず危険だ」と指摘した。
米軍が同日、嘉手納基地でもパラシュート降下訓練を実施したことについて「米軍のやりたい放題は今に始まったことではない。住民の意見を聞くよう日米安保を見直すか廃止するしかない」と話した。
西江前地区に住む60代男性は「午前8時ごろ、降下訓練しているのを見た。普段と変わりなかった。北風だったから、普通は東側にある伊江島空港には落ちないはずだ」とした上で、嘉手納基地内での実施は例外的とする日米特別行動委員会(SACO)合意について「建前にすぎない。実情は米軍がやりたい時にいつでもやっている」と吐き捨てた。