「本当に主権国家か」 嘉手納も住民反発 パラシュート降下訓練


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辺りが真っ暗になる中、パラシュート降下する米兵=29日午後7時2分、嘉手納町の米軍嘉手納基地(大城直也撮影)

 【中部】「基地負担軽減に逆行している」「本当に主権国家なのか」。29日に米軍が嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施したことを受けて、周辺自治体の住民らからは怒りや反発の声が相次いだ。嘉手納基地の駐機場近くに住む照屋唯和男町議は「明らかに日米特別行動委員会(SACO)合意違反だ」と断じ、「日本政府は米国側にルールを守らせる義務がある。米国のやりたい放題を見逃す国の弱さにも納得できない」と批判した。

 降下訓練は周辺自治体が中止を求める中、強行された。第三次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団の新川秀清団長は「日米合意が米国の勝手な解釈でねじ曲げられることが示されている。中止の声も届いていない。主権国家とは何かが問われている」と語気を強めた。

 読谷村で1965年、米軍パラシュートで投下されたトレーラーの下敷きになり、当時小学5年生の女児が亡くなった。同村の玉城栄祐さん(82)は「大惨事が起こったにも関わらず、訓練が続いている。今後も人命を脅かす事例が出てくる可能性がある」と警戒した。