沖縄を代表する観光施設が焼失 観光関係者の懸念は


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 沖縄を代表する観光施設だった首里城の焼失を受けて開かれた沖縄ツーリズム産業団体協議会の緊急会合で、守礼門など周辺エリアの観光資源の活用といった観光業界の対応策が示された。一方で首里城以外の観光施設の混雑が見込まれることや、安全性に関する誤情報が広がる可能性など、課題を指摘する意見も上がった。

 県内の旅行会社は現時点でツアーのキャンセルなど大きな影響は出ていない一方、観光コースの変更など作業を進めている。JTB沖縄の河村雄一郎交流営業部長は「首里城の代替地として識名園などを行程に組み入れている」と説明した。

 一方、年間280万人に上る首里城公園への来園者が周辺の観光地に押し寄せることで、混雑など悪影響が出ることを懸念。11月からシーズンに入る修学旅行の増加も見込まれるため、河村部長は「混雑回避のため関係者で情報共有をする必要がある」と指摘した。沖縄ツーリストマーケティング戦略本部長の安部潤氏も「首里城来場者が分散することでほかの観光施設で駐車場不足が起きる可能性もある」と見通しを示す。首里城の観光については「正殿などが焼けてしまったことは残念だが、それ以外にも見どころは多い。しっかり紹介したら関心を持ってもらえるはずだ」と話した。

 県ハイヤー・タクシー協会の東江一成会長は、首里城の火災で沖縄観光のマイナスイメージが広がることを懸念する。「火事が起きて危ないという間違った情報が伝わると、旅行のキャンセルにもつながる」と不安視した。県経済は好調を維持していることから「関係機関が知恵を出し合って、正しい情報を発信する必要がある」と強調した。