前原、しぶとく勝ち切る 全国高校サッカー沖縄県大会決勝 膠着状態を崩したアイコンタクト


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 サッカーの第98回全国高校選手権県大会最終日は9日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで決勝を行い、前原が2―0で普天間に勝利し、5年ぶり3度目の栄冠を手にした。前原は全国選手権(12月30日~2020年1月13日、東京・駒沢陸上競技場ほか)へ出場する。

前原―普天間 前半23分、ヘディングで先制点を決める前原の島袋吏生(中央右)=9日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(嘉陽拓也撮影)

 得点が生まれない膠着(こうちゃく)状態を崩したのは前原だった。前半23分、左サイドのタッチライン際で、大城魁人がゴール前の島袋吏生へアイコンタクトを送る。ロングクロスを蹴り込むと、島袋は相手DF裏へ抜け出し、頭で合わせて軌道を変えたボールはゴール右下へ吸い込まれていった。跳び上がって全身で喜ぶ前原イレブンに、割れんばかりの声援が降り注がれた。

 守備ブロックを堅く敷いて、普天間に決定機をつくらせない。中盤では数的有利をつくってボールを奪うと、素早く攻撃を展開。強風を味方に、前線にロングボールを送り込んでチャンスをうかがった。

 試合終盤にも運動量を落とさず攻守に積極的に関わった。試合終了間際、普天間は長身GKも加わったCKでたたみ掛けてくる。それをしのぐと、島袋がそのままカウンターを仕掛け、GK不在のゴールへロングシュートを決めた。

 新人大会、県高校総体では実力を出し切れずに早々に姿を消した。大会に向けほとんどの選手が自主的に頭を丸め、左手の甲にはペンで「信」の字を記した。耐える時間帯でも仲間を信頼して守り、必死に足を動かし続けた。

 2得点と大車輪の活躍だった島袋は「全国ではまず1勝。点を決めて活躍したい」と力強く話した。全国でも労を惜しまず、ハードワークを貫く覚悟だ。

(喜屋武研伍)