FC琉球ホーム最終戦黒星 完敗も攻撃姿勢最後まで


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琉球―京都 後半、献身的な守備でピンチをしのぐ琉球の上里一将(右)=10日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(大城直也撮影)

 サッカー明治安田J2の第40節、FC琉球は10日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで京都サンガFCと最終ホーム戦を行い、0―3で敗れた。通算成績は12勝10分18敗で勝ち点は46、順位は15位のまま。

 次戦は16日午後2時から、愛媛県のニンジニアスタジアムで愛媛FCと対戦する。

 最終ホーム戦は0―3と完敗だったものの、一貫してきた攻撃的なサッカーを貫いた。昨年12月の就任時、樋口靖洋監督が語った「沖縄の青い空、澄み渡る海に守備的なサッカーは似合わない」との言葉を体現するようなプレーがこの試合でも生まれた。ホーム21試合の成績は8勝5分け8敗。どんな時もゴールへ向かう“琉球魂”を示した。

 前半は多彩な攻撃パターンで好機を量産した。河合秀人が左サイドからドリブルで仕掛け、放ったシュートのこぼれ弾を上原慎也が押し込む。前線で上門知樹が山田寛人に落としての連係、細かなパス回しから風間宏希が相手DFの間を狙ったミドルシュートを放つ。だが今季培ってきた琉球の攻撃も、相手GKの好セーブに阻まれた。

 後半の押し込まれる時間帯でPKから得点を許す。その後はすぐに交代カードを2枚切った。突破力のあるハモンを右SHに、金成純を右SBに置いて長身の上原慎也をワントップに据えた。リスクを背負いながらも前への勢いを加速させ、勝利だけを見据えた布陣だった。

 試合後のスピーチに登壇した上里一将主将は、途中言葉に詰まりながら「いろいろな思いがよみがえった。サポーターに支えてもらいながら、濃い1年だった」と語った。今季14得点を挙げ、琉球のエースに成長した上門知樹は「締めくくりとしては残念。あと2試合、とにかく勝ってシーズンを終わらせたい」と前だけを見ていた。
 (喜屋武研伍)

来季向け発展の礎に

FC琉球―京都サンガ 選手に指示を出す樋口靖洋監督

 樋口靖洋監督(琉球)の話 1点目の失点のあと15分で2失点してしまった。まだまだだと思う。次の年に向け、発展の礎にしないといけない。この1年はいろいろなことを経験できた。周囲の方々、熱い声援を送ってくれたサポーターにも感謝したい。

前半は消極的だった

 中田一三監督(京都)の話 前半は消極的だった。ハーフタイムでは戦術うんぬんより、自分自身が過去を変えていくんだと、強い気持ちを持ってほしいと話した。それから選手たちが気持ちをしっかりと切り替えてプレーしてくれた。


(2)タピスタ(京都1勝1分け)

琉 球 12勝10分け18敗(46)
 0―3(0―0,0―3)
京 都 18勝11分け11敗(65)

▽得点者 【琉】 【京】 庄司(PK)(2)一美(17)小屋松(8)
▽観客 7523人

 【評】ポゼッションを重視するチーム同士の対戦。立ち上がりから両チーム、慎重に試合を組み立て、一進一退の攻防を繰り広げる。後半は京都にエリア内深くへの侵入を許し、後半30分にPKで失点すると、波状攻撃を受けて15分の間にさらに2失点した。

「琉球愛歌」熱唱 選手をねぎらう サポーター7523人

ホーム最終戦を終え、選手たちに大声援を送る琉球のサポーター

 どんな天候の下での試合でも応援を続け、選手と共にJ2の舞台をひた走ってきたサポーターたち。最終ホームの0―3での敗戦にも応援歌「琉球愛歌」を熱唱し、選手たちをねぎらい続けた。

 7523人が駆け付け、プレーに熱視線を送った。今季の平均観客数は4953人、昨年より2千人近く増加した。中でも、ユニホームを着て応援歌を歌い、タオルを応援に加わるサポーターも増えたという。

 アウェーチームからも大きな刺激を受けた。J1経験のあるチームのサポーターは時に千人を超える。JFL時代から琉球を支える森純生さんはあまりの迫力に「会場をジャックされた」と悔しそうに振り返る。サポーター代表の池間弘章さんは「スタジアムの雰囲気は確実に良くなっている。来季は相手サポーターに負けない声援で後押ししたい」と来季を見据えていた。