【神奈川】神奈川県と川崎市が指定無形民俗文化財(沖縄民俗芸能)として指定する「川崎沖縄芸能研究会」と同市文化協会は10日、川崎市のカルッツかわさきで、第82回沖縄芸能大会を開催した。700人を超える市民に日頃の練習の成果を披露した。首里城再建の募金も行われた。
「かぎやで風」の斉唱で幕が上がり、正装した110人が登場した。舞台の背景には、東京の国立劇場と国立劇場おきなわと川崎の3カ所にしかないという首里城正殿の幕絵が全幅に掲げられた。観客の中からは「首里城だ」とつぶやき涙する人も。鎮痛な空気の中、格調高く祈りをささげるような演奏に会場から拍手が湧き上がっていた。
研究会の名嘉ヨシ子会長は開会のあいさつで、首里城焼失に触れ「夢なのかと思いながら崩れ落ちる首里城を見た。芸能にたずさわる私たちの心の支えが、一瞬で崩れ落ちた」と声を詰まらせた。「泣き続けたが、今日を境に、前に進むためにかぎやで風をあえて演目に入れた。首里城復元も支援していく。協力してほしい」と募金を呼び掛けた。
会員や関係者から寄せられた浄財を合わせ沖縄で募金を贈呈する予定だ。大会後、名嘉ヨシ子会長は「長年使用されてきた首里城の幕絵。今はこれを宝として未来に向かって、首里城再建への歩みとともに頑張る」と涙をこらえながら、決意を語った。
(山川夏子首都圏通信員)