首里城の早期再建へ決議 全国知事会、国に支援求める 宮崎、鹿児島は木材供給で協力


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首里城 正殿=2012年

 【東京】全国知事会は11日、東京都内で会議を開き、首里城の早期再建に全力で取り組むよう国に求める緊急決議を全会一致で採択した。続いて開かれた政府主催の全国都道府県知事会議で飯泉嘉門全国知事会長は、再建を明言した政府の姿勢に謝意を示し、全国知事会としても後押ししていく考えを示した。会議に出席した宮崎県の河野俊嗣知事と鹿児島県の中村かおり副知事は本紙の取材に対し、首里城再建で課題となる木材の供給について協力する考えを表明した。一方、那覇市の城間幹子市長や市議団は同日、早期再建への支援を政府に直接要請した。

 緊急決議文は首里城について「我が国が誇る『世界文化遺産』であり、歴史や文化の心に彩られた首里城は必ず復元させなければならない」と強調し、政府に対して全力で早期の再建に取り組むよう求めた。

 緊急決議の採決に先立ち玉城デニー知事は、首里城の焼失について「県民をはじめ、本当に多くの皆さんが大変なショックを受けている」と語り、再建に向け全国知事会に協力を求めた。

 飯泉会長は6日の現場視察を踏まえ「まさに大きな喪失感を感じた」と触れた上で、「全国知事会の総意として沖縄県、沖縄県民の皆さんと共に首里城の早期復元の実現を強く念願する」と述べ、決議への賛同を呼び掛けた。

 採択を受けて玉城知事は「私たち県民をはじめ、国内外にいる県系の皆さんにとっても、非常に大きな励ましになった」と緊急決議の意義を語った。

 一方、河野宮崎県知事は首里城再建で課題となる木材の確保に協力する意向を玉城知事に伝えた。

 河野知事は、過去の首里城復元時にも宮崎産の木材が使われたことや、戦時中に沖縄の人々が宮崎に疎開するなど過去のゆかりに触れ「対応を事務方に指示した。林業が盛んな県ならではの貢献をしたい」と語った。

 鹿児島県の中村副知事も、三反園訓鹿児島県知事が玉城知事に木材面で協力の意向を伝えたとし「鹿児島県内のスギやヒノキは出荷できるレベルに達している。沖縄とは隣県でもあり、人や物流の往来もある中で、申し出させていただいた」と述べた。