花園目指し 名護VSコザ 沖縄県高校ラグビー、きょう決勝 実力伯仲の両者の戦略は…


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 ラグビーフットボールの第99回全国高校大会県予選の決勝が14日午後2時から、名護市の21世紀の森ラグビー場で行われる。今年は2年連続18回目の花園出場を目指す名護と、昨年名護に敗れたコザが悔しさを糧に16回目の切符を狙う。名護が6月の県高校総体と9月の名護市長杯で勝ち越してはいるが、実力は伯仲(はくちゅう)している。全国選手権は51代表が出場し、12月27日に東大阪市花園ラグビー場で開幕する。決勝は1月7日。

平均体重90キロを武器に特訓積む 名護高校

2年連続で花園出場を目指す名護のメンバーら=12日、名護高校

 2年連続18回目の花園出場を狙う名護は、今夏約10日間の九州合宿を行いフィジカルの強化やハンドリング向上に取り組んできた。全国屈指の強豪地区の福岡を始め、鹿児島県勢と約20試合の練習試合を行い「自分たちが理想とするハンドリングや試合展開を学べた」と島津孝典主将はチームの成長を確信する。

 6月の県高校総体、9月の名護市長杯でいずれも優勝という成績を残したが、「メンタル面が課題」というように、前半はサインミスや自陣でのノックオンなどが失点につながった。選手同士の密な意思疎通を図り「前半から2、3トライで流れをつくりたい」と掲げる。

 バックスはトライゲッターのWTB島袋大成を中心に、サイドからのスピードを使いトライを狙う。総体で約70メートル独走しトライした島袋は「全力で回してくれたボールを最後まで離さずトライにつなげる」と力強い。一方、フォワードは体重100キロ超の伊波晃士や新城俊介らが中心。平均体重約90キロを武器に当たり負けしない特訓を積んできた。島津主将は「前半から積極的に攻めて圧勝したい」とチーム一丸で栄冠を取りに行く。
 (上江洲真梨子)

メンバーだけ通じる掛け声で一体感 コザ高校

雪辱を期すコザのメンバーら=12日、沖縄市のコザ高校

 コザは今季の新人大会や県総体、名護市長杯のいずれも名護に敗れている。昨年大会は終了の笛が鳴ると同時に名護が喜ぶ傍らで、コザの全員が泣き崩れていた。金城主樹主将は「その瞬間は忘れられない」と花園の切符を懸けた大舞台で雪辱を期す。

 突出した選手がいないコザは、夏合宿や7人制ラグビーの全国大会を通じてチーム力をつけてきた。FWの久場進之輔は「それぞれが自分の役割を極める」と互いに支え合う関係こそがコザの強みだという。

 メンバーだけに通じる声掛けも一体感を強める。5日の読谷戦では、沖縄市高原の坂道を走った日々を思い出すための「高原」という掛け声が自然と生まれ、後半で逆転勝利をもたらしたという。センターの屋富祖大河は「名護との力の差はなくなっている」と胸を張る。

 今季は指導者不在の時期もあったが、新任の辺土名斉朝監督や高江洲昌成外部コーチのおかげで成長しており、選手らは「自分たちだけではここまで来れなかった」という思いがある。金城主将は「恩返しは優勝でしかできない」と支えてくれた周囲への感謝を胸に頂点へ挑む。
 (古川峻)