首里城再建、補正予算の計上見送り 沖縄県「国との分担未調整」


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沖縄県議会

 県は14日、県議会11月定例会に提案する議案を与党県議に説明した。首里城再建に向けた補正予算などは計上しない方針が示されたという。出席議員から首里城再建に向けての予算措置を問う声が上がったが、県は火災原因の特定に至っていないことや国との役割分担が未調整であることを理由に11月定例会では関連の補正予算を組まないと説明した。出席県議によると、計上される補正予算は総額約3億1700万円。15日の庁議で承認される見通し。

 一方、首里城火災の翌日に玉城デニー知事が上京し、菅義偉官房長官らと面会して早期再建への協力を求めたことについて、謝花喜一郎副知事が「再建に向けた要請ではなく、あくまで現状報告だ」と強調したという。

 菅官房長官は「財政措置も含め、やれることは全てやる」と早期再建に前向きな姿勢を示しているが、火災翌日の知事の上京を巡っては「再建は県が主体となるべきではないか」など疑問を呈す声が上がっている。

 国に対して積極的に財政支援を求めているわけではないと説明することで、県政に対する批判をかわす狙いがあるとみられる。

 首里城再建を巡っては、内閣府が13日の国民民主党の沖縄協議会で「補正予算での対応を念頭に、関係省庁と議論を進めている」と表明しており、補正予算に首里城関連予算を盛り込む検討を進めている。

 その他、与党県議に説明されたのは、2021年度から導入予定の宿泊税(観光目的税)に向けた施行準備事業や、20年の戦後75年を見据えたちゅらウチナー草の根平和創造事業など。

 平和創造事業は戦争体験の語り部の表彰や、糸満市摩文仁の平和祈念公園「平和の礎」前で空手の奉納などが実施される予定という。

 県営住宅や沖縄空手会館の指定管理者の指定などの議案も説明された。