競技通じお互い知る 障がい者と混合チーム フロアボールで日本初


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フロアボールの練習に励む社会福祉法人楓葉の会の利用者と職員=13日、沖縄市の美さと児童園

 知的障がい者と健常者が混合でチームを作り、スポーツを通して互いの個性を理解し支え合う関係を築く「ユニファイドスポーツ」。その一つに「フロアボール」がある。このほど、日本初の知的障がい者を交えたフロアボールチームが県内で発足した。沖縄市にある社会福祉法人楓葉(ふうよう)の会(島粒希(しまりゅうき)理事長)の利用者らと職員、同市の美さと児童園の生徒らでつくり、練習に励んでいる。

 フロアボールは2チームに分かれ、スティックを使いプラスチック製のボールをゴールに打ち込み得点を競う。試合はゴールキーパーを除き5人で行い、ユニファイドスポーツの場合は3人は知的障がい者、2人は健常者で構成する。1チーム20人で、何回でも選手交代ができる。

 スポーツを通じて知的障がい者を支援する「スペシャルオリンピックス」の正式競技で、北欧を中心に世界73カ国で350万人以上が競技を楽しむ。一方、日本の競技人口は約3千人にとどまり、健常者のスポーツとして親しまれてきた。

 「利用者と一緒にプロスポーツをやりたい」と考えていた島理事長と、フロアボール普及に取り組むNPO法人「T3 FLOORBALL PROJECT」の田島達朗代表が共通の友人を通じて知り合い、活動が始まった。

 9月から週に1~2回、利用者らと職員は午前の作業後に沖縄市多目的運動場や美さと児童園の体育館で練習する。同園の生徒らは休日の練習に参加し汗を流す。ゴールが決まると拳を上げ全力で喜び合う。障がいの有無にかかわらず純粋にスポーツを楽しむ姿がある。

 島理事長は「利用者の人生を豊かにしたい。フロアボールを通して、スポーツが職業の一つになってほしい」と力を込めた。

 楓葉の会に通いながら練習に励む比嘉盛朗さん(26)は「みんなで勝負することが楽しい。スペシャルオリンピックスで日本代表選手として出場したい」と目標を語った。 (上里あやめ)