沖縄戦問い25年 佐喜眞美術館 来館100万人超


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故丸木位里・俊夫妻による「沖縄戦の図」の前で25年を振り返る佐喜眞美術館の佐喜眞道夫館長=22日、宜野湾市上原の同美術館

 【宜野湾】宜野湾市上原にある佐喜眞美術館が23日で開館25年を迎えた。故丸木位里・俊夫妻による「沖縄戦の図」を中心に展示し、来館者100万人以上に沖縄戦を問い掛けてきた。館長の佐喜眞道夫さん(73)は「不安定な時代を生き抜くため、芸術は原点に引き戻す力がある」と強調した。

 「沖縄戦の図」は丸木夫妻が1982~87年、沖縄に通い、戦争体験者の話を聞いて描いた。美術館の土地は佐喜眞さんの先祖の所有だったが戦後、米軍普天間飛行場に接収された。丸木夫妻から絵を沖縄に置く思いを託された佐喜眞さんは日米と交渉し92年に土地を返還させ、94年に美術館を開いた。

 丸木夫妻は、戦争を忘れた本土と異なり沖縄の人が悲惨な戦争を覚えていることに衝撃を受けていたという。佐喜眞さんは「『二度と戦争を起こしてはいけない』というウチナーンチュの思いを込めた絵は、次世代に大きなヒントになる」と話す。

 「沖縄戦の図」全14部が12月16日まで公開されている。1日午後4時からは丸木夫妻の制作を再考するギャラリートークがある。