日本乳幼児精神保健学会FOUR WINDSの第22回全国学術集会沖縄大会が23日、「童(わらび)どぅ宝~社会で支える親子の成長」をテーマに那覇市の琉球新報ホールで始まった。子どもは複雑に絡み合う社会的、歴史的な影響を受けるが、安心できる関係性や居場所の中でよりよく育つことが語られた。24日まで。
来賓講演としてトロント精神分析研究所(カナダ)のジョセフ・フェルナンド所長は、強いトラウマ体験が記憶の形にもならないまま無意識化でその人の行動に影響を与える「ゼロプロセス」の概念について紹介。人類はトラウマとともに生きながらえ、その力が社会運動や新技術の開発につながる例もあるとして「トラウマが人間性のひだを深め豊かにするというとらえ方が必要」と話した。
元県立看護大教授の當山冨士子さんは県内には2010年代でも沖縄戦によるPTSDのリスクが高い人が多いことを報告。「胎児期からの沖縄の子どもたち」と題したシンポジウムでは貧困問題、若年出産や性暴力被害者支援、DV対策などに関わる4氏がそれぞれの立場で発言した。
24日は午後3時から市民公開講座で小児科医の澤田敬さんが「心の響き合いと甘えの子育て」と題して講演する。入場無料。