これが旧公設市場、最後の姿 2020年2月から本格的に解体 22年4月に新市場


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1972年の開場から47年稼働していたエスカレーターと冷蔵庫(右)。3階の窓から自然光が入るように設計されたが、営業時はポスターでふさがれていた=21日、那覇市松尾の旧第一牧志公設市場
営業していた頃の第一牧志公設市場=6月、那覇市松尾

 2020年2月から始まる本格的な解体を前に、那覇市の旧第一牧志公設市場の内部が21日、報道各社に公開された。旧市場は沖縄が日本に復帰した1972年に開場した。エスカレーターや冷蔵庫は当初から19年6月の営業終了まで稼働していた。「県民の台所」として47年間の歴史が刻まれた建物は今、静かに再生の時を待つ。

 旧市場で各精肉店が利用していた冷蔵庫は特注で製造された。相対売りがしやすいよう、客から店主らの顔が見える高さにしている。報道陣を案内した同市場組合の粟国智光組合長は、エスカレーターについて「復帰当時に造られたエスカレーターの中で一番長く稼働していたのではないか」と話す。

 市場の中央は吹き抜けで自然光が入る設計だ。しかし精肉に日光が当たると良くないため、長年ポスターを貼ってふさいでいた。吹き抜けに飾られていた大きなたこは15年ほど前に組合が正月の飾りとして手作りしたという。その後常設され、待ち合わせの目印にも活用された。現在は仮設市場に移され、観光客の撮影スポットになっている。

屋上からは市場中央通りのアーケードの白い屋根と水上店舗の屋上が見える=21日

 2階は食堂街だったが開場当初、食堂は数軒だけで他に仕立屋などが入っていた。そのため各小間(店舗スペース)の仕切りがなく、独特の開放的な空間を生み出していた。

 粟国さんは「旧市場は戦後の県民生活と共に歩んできた。解体は寂しいというのが本音だが、復帰50年の年にオープンする新市場も、旧市場を踏襲して魅力ある相対売りの空間にしたい」と話した。

 旧市場は14日から解体工事が始まった。内部の器具を撤去した後、来年2月から外部の解体に入る。3月中旬までに解体工事を終え、同じ場所に新市場を建設する。2022年4月の開場を目指す。現在は旧にぎわい広場に建設された仮設市場で営業している。