自治条例廃止、住民投票が“標的”に? 住民投票の根拠条例、廃止を求める動きが訴訟に影響も


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 【石垣】石垣市自治基本条例は、市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票実施を求めて「市住民投票を求める会」が2018年12月に直接請求した際、根拠とした条例だ。同請求を巡り「求める会」は市を提訴しており、19日に第1回口頭弁論が行われたばかり。今回の条例廃止を求める議会の動きは、訴訟の行方に影響を及ぼす可能性もある。

 自治基本条例28条では、有権者の4分の1以上の署名で住民投票の請求があった場合、「市長は所定の手続きを経て、住民投票を実施しなければならない」と規定している。

 「求める会」は18年、有権者の4割近い1万4263筆の署名を集め、住民投票を直接請求した。だが市議会で与党の多くが実施に反対して住民投票条例案が否決されたことを受け、住民投票は行われていない。

 訴訟に関して市は全面的に争う構えで、両者の主張は対立している。自治基本条例の条文を裁判所が今後、どう解釈していくかも焦点になる。

 市議会の自治基本条例廃止の動きに弁護団事務局の安里長従氏(司法書士)は「まさか廃止が(裁判で争われている)直接請求にまで遡及(そきゅう)するとは考えてはいないだろうが、『問題条例』だとアピールしたいのだろう。住民投票がターゲットになっていると思う」と指摘する。

 その上で「『自治体の憲法』と言われる条例を単なる多数決で廃止しようとする動きは、地方自治を根底から否定するものだ」と批判した。