中止の危機だったイルミネーション 市民有志で継続へ いとまんピースフル


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メインツリーの横で、舞う雪を楽しむ子どもら=2018年12月15日、糸満市観光農園

 【糸満】沖縄県糸満市は、年末年始に沖縄戦終焉(しゅうえん)の地から平和の祈りをイルミネーションに込めて発信してきた「いとまんピースフルイルミネーション」を財政難などを理由に市主体での開催の中止を決めた。市は「平和を願うイベントとして開催してきたが、目的をいとまん平和トリムマラソンに移行し、慰霊の日と併せて平和を発信していく」としている。ことしは民間事業者を中心に市民ら有志が実行委員会を結成し、「平和の光」をともす。

 2018年に20回を数えた同イルミネーションは、1999年に市西崎親水公園で開始。戦後60年の2005年、市摩文仁の市観光農園に場所を移した。市や市観光協会など約10団体で「平和の光」事業実行委員会を組織し、運営していた。

 市によると毎年の総事業費は概算で約3千万円。市は約1千万円余を負担し、協賛金や分担金、入場料などでまかなっていた。約18万個の電飾は市の所有だが、発電機などのリース料や警備費などに費用がかかっていた。市の財政が厳しく、市を中心とした開催が中止になった。

 民間事業者2社から運営の希望があり、企画書の審査を経てOEF(オキナワイベントファクトリー)=糸満市=に決まった。市は約18万個の電飾と市観光農園は無料で貸す。市は「民間で運営できるのか本年度は試験的に実施する」としている。
 (豊浜由紀子)

イルミネーションの設置作業をするボランティアら=25日、糸満市摩文仁の市観光農園

・ボランティアSNSで募る

 【糸満】いとまんピースフルイルミネーションを民間で運営することを受け、OEF(オキナワイベントファクトリー)を中心に市民有志ら約10人はこのほど、ピースフルイルミネーション実行委員会を立ち上げた。同実行委は11月初旬から準備を進めているが、開催場所の市観光農園での電飾設置のボランティアを募集している。イルミネーション初日の12月20日まで、午前10時から午後5時まで設置予定。雨天中止。

 同実行委員会は16日、ボランティア募集をSNSで呼び掛けた。市内外から賛同者が集まり、飾りつけをしている。実行委員長の新垣重人さん(45)は「来ないと思っていた」と言うが、連日、ボランティアが駆け付け、県外から出張の合間に来た親子もいたそうだ。これまでイルミネーションの会場で舞台出演していた市内の高校生らも「恩返ししたい」と参加する予定。

 新垣さんは「(イベントを)なくしたくないという思いから民間で行うことにした。成功させたいので皆さんの協力をよろしくお願いします」と呼び掛けた。問い合わせは(電話)098(987)0806 (担当・新垣)

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 「いとまんピースフルイルミネーション」は12月20日から来年1月5日まで、午後5時から同10時(31日は午前0時半まで)。入場料は高校生以上千円(前売り700円)。中学生以下無料。
 (川嵜紋通信員)