積極的な相談呼び掛け 火災影響緩和へ支援機関


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首里城火災後に周辺事業者からの相談を受けている県よろず支援拠点の職員ら=29日、那覇市小禄の沖縄産業支援センター

 首里城火災による観光客の減少で、事業に打撃を受けた首里城内や周辺の飲食店、土産品店などから、県内の支援機関に相談が寄せられている。首里城入場券の売り上げがゼロになった業者、夜間の来店者が減りランチ営業に切り替えた飲食店、土産品の納品先がなくなり新たな販路を探す製造業者など、今後の経営を懸念する声が上がっている。

 中小企業の経営改善などをサポートする県よろず支援拠点には、毎日のように相談が寄せられる。首里城周辺業者など十数社から延べ50件ほど相談を受け付けた。ある事業者は、多いときで200万円あった首里城入場券の売り上げがゼロになった。首里城内でアイスクリームを販売する業者は、多い月で200万円を超えた仕入れ額が11月は50万円ほどに激減した。

 当座の資金を賄うため金融機関を紹介し、事業計画づくりを支援しているが、相談者からは「先の見通しが立たず、事業計画を立てられない」と悲痛な声が上がる。多くの業者は従業員を自宅待機させるなどして急場をしのいでいる。

 上地哲チーフコーディネーターは「沖縄美ら島財団や那覇市観光協会の関係者と面談し、イベント開催場所を正殿前の御庭から別の場所に移すとか、新しい観光コースを検討したいという話があった。首里城周辺の業者をどう支援するか、関係機関が連携して考える必要がある」と強調した。

 那覇商工会議所は12日に相談窓口を設置し、首里城火災で影響が出ている企業の相談を受けているほか、首里城周辺の店舗に聞き取り調査を実施した。火災の影響を受けている店舗に対し、積極的な相談を呼び掛けている。県中小企業支援課は「中小企業セーフティーネット資金」の融資対象の災害に、首里城火災を認定した。29日までに近隣の飲食店から融資の相談が1件あった。