「県民の声反映を」 首里城再建フォーラム 登壇者らが提言


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首里城再建への考えを述べた登壇者の(右から)宮沢和史氏、玉那覇美佐子氏、稲嶺恵一氏、東良和氏、平田大一氏 =2日午後、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 10月31日の首里城火災を受けた緊急フォーラム「ひやみかせ首里城再建―私たちにできること」(主催・琉球新報社、沖縄テレビ放送、ラジオ沖縄)が12月2日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催された。琉球史や文化・芸能、観光の専門家らが再建の在り方などについて議論し「県民の意見を再建へ生かす仕組みが必要だ」「展示室や収蔵庫は別の建物を造ってはどうか」など多様な意見が出た。約400人が来場した。

 基調講演で県立博物館・美術館の田名真之館長は「再建する際は、展示や収蔵の施設は(正殿など主要な建物の)外に出した方がいいと思う」と防火対策を指摘。「首里城周辺の中城御殿や円覚寺などを琉球の歴史を知るゾーンとして一体で再建してはどうか。早くビジョンを議論する必要がある」と提言した。

 戦前の首里城についての資料を残した鎌倉芳太郎氏の功績の大きさに触れた作家・与那原恵氏は「鎌倉氏が未来へ残した宝物は今後の再建も支えてくれることだろう」と期待を込めた。

 5人が登壇した意見交換で元県知事の稲嶺恵一氏は「国と県の役割をしっかり分け、再建へ最善を尽くすべきだ。ソフト面は沖縄が提案していく仕組みをつくればうまくいくと信じる」との考えを語った。

 観光面で沖縄ツーリストの東良和会長は「正殿がない間も観光客へ琉球の歴史や文化を見ていただく工夫が必要。今、注目されているからこそ新しいアイデアができる」と指摘した。

 琉球王朝祭りなどを開催してきた首里振興会の玉那覇美佐子理事長は「再建までどう活動を持続させるかだ。再建は100年、200年後の首里城を踏まえてほしい」と見据えた。

 演出家の平田大一氏は「ありのままの首里城を見せ、刻むことも大切だ。焼けた首里城をバックに祭りをしてもいい。踊りや歌でも復興を盛り上げていければと思う」と強調した。

 歌手の宮沢和史氏は「世界中の県人会に必ず首里城の絵がある。今年は組踊300年。首里城は再建するだけでなく、県で踊奉行を設けて大きな行事を運営してはどうか」と提案した。