「理念」「市民」定義で質疑 石垣議会 野党「議論なく安易」 自治条例廃止報告


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
石垣市自治基本条例を「廃止すべきもの」と結論付けた調査特別委員会の報告をする友寄永三委員長=2日、石垣市議会

 【石垣】2日の石垣市議会12月定例会で行われた市自治基本条例に関する調査特別委員会(友寄永三委員長)の委員長報告に対して特別委に加わらなかった野党8人を含む9人が質疑し、特別委の議論の中身などを追及した。

 廃止すべき理由の一つとして挙げられた「理念を条例で制定する必要がない」との意見に、野党の前津究氏は「ほとんどの条例に理念はあるが、そこからも理念を外せとの議論にもつながる」と指摘し、議論内容の説明を求めた。友寄氏は「この意見一つで廃止を結論付けたわけではなく、多くある意見の一つだ」と述べるにとどめた。

 与党の仲間均氏は、特別委で疑義が集中したという「市民」の定義に関する議論内容を問うた。友寄氏は「多数の外国人が市に来る時代に、『市民』という肩書で市政にいろんな要求ができるのが心配だとの意見はあった」などと答えた。

 宮良操氏は自治基本条例に関連する他の条例が多数あると指摘した上で、廃止に伴う関連条例への影響を議論したのかについて質問した。友寄氏は「そういう議論は全くやっていないが、多くの自治体では(条例が)なくてもやれており、廃止しても問題はないとの意見になった」とした。

 宮良氏は「議論もなく安易に廃止の結論を出したと取れる」と批判。特別委で有識者や制定関係者の意見を聞くことなく結論を出したことにも疑問を呈した。

 住民投票の規定に関する井上美智子氏の質問に、友寄氏は「地方自治法でも住民投票はできるとの話が出た」などと答えた。

 友寄氏は野党からの質疑に「野党の皆さんが(特別委に)参加していれば、こういう質問もなかったと思う」と、野党が委員に加わらなかったことに繰り返し言及した。野党の内原英聡氏は「そもそも3月に(特別委が)立ち上がった時は調査・研究のためとあった。条例の見直しを踏まえてということであれば野党も参加しただろう」と反論した。

 議場では与野党のやじが飛び交った。6人目の質疑終了後、「議論は尽くされた」として仲間氏が質疑打ち切りの動議を出す場面もあった。議会運営委員会での議論を踏まえて仲間氏は動議を取り下げ、質疑は最後まで続行された。