上野英信さんに感謝 「眉屋私記」文学碑建立へ 名護市屋部で三十三年忌


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 【名護】名護市屋部の山入端一族(屋号・眉屋)の人生を記した「眉屋私記(1984年発刊)」の著者・上野英信さん=87年死去=の三十三年忌(ウワイズーコー)が11月23日、屋部公民館で開かれた。上野さんの息子、朱(あかし)さん(62)や今も同区で暮らす山入端一族ら多くの地元住民が参加し、在りし日の思い出を振り返った。上野さんの功績を後世に伝えようと、同区に文学碑を建立する案が出され、満場の拍手で歓迎された。大浜敏秀屋部区長は「実行委員会と調整していきたい」と話した。

「眉屋私記」の著者・上野英信さんの写真を前にする上野さんの息子・朱さん(左)と題材になった山入端萬栄さんの姪孫・比嘉ゆり子さん=11月23日、名護市の屋部公民館

 「眉屋私記」は1908年に炭鉱移民でメキシコに渡り、その後キューバに渡った山入端萬栄さんや、辻遊郭に売られた末妹のツルさんなどの人生を通し、近代沖縄民衆の歩みを記した長編記録文学。

 朱さんは「上野にとって山入端家は尊敬に値する。屋部は古里だった。このような形で屋部の皆さんに温かく迎えていただき幸せです」と喜んだ。

 萬栄さんの姪孫にあたる比嘉ゆり子さん(60)は「上野さんは屋部と眉屋をずっと気に掛けてくれていた」と感謝を述べた。萬栄さんの娘、マリアさんにちなみ自身の娘にもマリアと名付けたと明かし「若い世代が上野さんとの絆を受け継いで『眉屋私記』を後世に伝えていきたい」と語った。