首里城火災、県が初めて陳謝 副知事「多大な迷惑お掛けした」第三者委設置も検討


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(上段左から)糸洲朝則氏、上原正次氏(下段左から)新垣清涼氏、瀬長美佐雄氏

 県議会11月定例会は5日、2日目の代表質問があり、首里城火災を防げなかった県の責任を問われ、謝花喜一郎副知事が「近隣住民、県民および関係各所に多大なご迷惑をお掛けし、施設の管理者として大変申し訳ない」と陳謝した。管理体制の検証と同時に再建に向けて「多くの県民の声をしっかりと反映させていくことが重要だ」と強調。県民の声を踏まえ、基本方針をとりまとめていく考えを示した。糸洲朝則氏(公明)への答弁。

 首里城火災を巡っては、玉城デニー知事は「遺憾」という表現にとどめており、県執行部が謝罪したのは初めて。

 火災原因究明と防火体制などの検討のため、第三者委員会(事故調査委員会)を設置すべきではないかとの糸洲氏の指摘に上原国定土木建築部長は「再発防止の観点から設置も検討していきたい」と述べた。

 前回の首里城復元で台湾産ヒノキが使われたことから、台湾を訪問し、総統にお礼とおわびをすべきではないかとの問いに謝花副知事は「玉城知事と三役を交えしっかり検討し対応したい」と述べた。上原正次氏(おきなわ)への答弁。

 島袋芳敬政策調整監は、先に玉城知事が県民の意見集約のため設置を発表した「首里城復旧復興県民会議(仮称)」について民間主体の設立を視野に検討するとの考えを示した。上原氏、糸洲氏への答弁。

 大城玲子子ども生活福祉部長は、沖縄全戦没者追悼式に国連代表を招待することについて「実現の可能性について関係機関と調整する」と述べた。瀬長美佐雄氏(共産)への答弁。

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<基地・安保>

 新垣清涼氏 有機フッ素化合物の入った取水量と、排水量との割合について。

 金城武企業局長 北谷浄水場の水源である比謝川および長田川、嘉手納井戸群、および天願川からの2018年度の取水量は合計1日約6万立方メートルで浄水場取水量の約40%、企業局総取水量の約14%となっている。例年水事情が良好な状況においては、他の水源を優先的に活用する取り組みを行っており、19年度6月から10月までの比謝川などからの取水量は合計で1日で約3万2千立方メートルと、18年度の半分程度となっている。

 糸洲朝則氏 那覇軍港の浦添移設について伺う。

 池田竹州知事公室長 那覇港管理組合からは浦添埠頭(ふとう)地区の技術的な検討に当たり、民港部分の浦添埠頭地区施設配置案を複数作成し、防衛省において代替施設の配置を作成していただく必要があることを浦添埠頭地区調整検討会議で確認したとの発言があった。第26回施設協議会では浦添埠頭調整検討会議において事務的技術的な検討を、スケジュール感を持って行い、港湾計画の方向性を速やかに導き出すことなどが確認された。

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<教育・医療>

 新垣清涼氏 路線バスの減便による生徒や県民生活への影響とその対策は。

 平敷昭人教育長 減便に伴い、定時制課程に通う一部の生徒が帰宅時の交通手段が確保できず、授業を早退せざるを得ないという状況があったが、現在は学校の時間割の工夫や保護者等の送迎により回避されている。また保護者等による送迎が厳しい場合は、同窓会の支援による送迎を計画していると聞いている。

 瀬長美佐雄氏 県内薬剤師数の現状と県内大学への薬学部設置について。

 砂川靖保健医療部長 厚生労働省の2016年調査によると、人口10万人当たりの薬剤師数は全国平均の181人に対し、沖縄は134人で全国最下位だった。県内国公立大学に薬学部を設置することは薬剤師不足を解消するための有効な方策であると考える。今後必要性、実現可能性について調査したい。

 糸洲朝則氏 県内病院の耐震化率は。

 砂川靖保健医療部長 13病院を災害拠点病院に指定し、災害時に診療機能を維持できるよう必要な施設、設備の整備を支援している。災害拠点病院の耐震化率は84・6%(2018年9月1日現在で全国は90・7%。県内前年同日比は2・8ポイント上昇)、それ以外の病院の耐震化率は79・5%で、全ての病院が耐震化を達成できるよう取り組んでいきたい。

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<農林水産・観光>

 新垣清涼氏 種子条例制定を求める背景と県の取り組みについて。

 長嶺豊農林水産部長 優良な品種の決定や種子の生産供給などを都道府県に義務付けた主要農作物種子法が、2018年4月1日をもって廃止された。県では廃止に対応するため、18年4月に県主要農作物種子生産取扱基本要綱を定め、優良種子生産体制を維持している。引き続き関係団体等と意見交換を行い、優良な種子生産体制の構築を図る。

 糸洲朝則氏 那覇空港第2滑走路の活用について。

 宮城力企画部長 第2滑走路の供用開始後、利用客の増加による観光産業等への波及効果を期待している。県は短期的に、駐機スポットや地上ハンドリング体制の確保、旅客ビルの利便性向上を促進する。中長期的に空港エリアの拡張による機能強化など、那覇空港の将来のあり方を検討する。