「基地協」設置へ再挑戦 沖縄県町村議長会が全国に連携、課題共有呼び掛け 過去には否決の苦い経験も


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県町村議会議長会の臨時総会で、基地関係協議会について説明する徳里直樹嘉手納町議会議長=11月13日、東京都内

 在日米軍基地が所在する全国の町村議会が課題解決につなげるための「基地関係協議会」の設置を目指し、県内30町村の議会議長でつくる県町村議会議長会(会長・識名盛紀与那原町議会議長)が2度目の“挑戦”に取り組んでいる。2017年2月に全国町村議会議長会(全国会)に対し設置を求めたが、賛成少数で否決された苦い経験がある。ハードルは依然高いものの、今回は全国行脚なども検討し、関係町村に設置の必要性を理解してもらいつつ、来夏の全国会での審議につなげたい考えだ。

 「全国では48町村が基地を抱えている。小さな組織だが、情報を共有し課題を政府にいい形で伝えることが負担軽減や整理縮小につながる」。今年11月13日、東京都内であった県町村議会議長会の臨時総会で、副会長の徳里直樹・嘉手納町議会議長が基地関係協議会設置の意義を強調した。その場で、要望決議を来年1月の九州各県町村議会議長会協議会(九州ブロック会議)に改めて提案することが満場一致で認められた。

 徳里氏は県町村議会議長会の会長だった14年から17年にかけ、基地関係協議会の発足を目指した。要望は16年5月の九州ブロック会議で採択された。

 しかし、その後、全国会の理事会の審議で、町村議会とともに「地方6団体」を構成する市や都道府県の議会議長、首長の全国組織で同様の動きがないことなどを理由に、議題として扱わないことが決められた。17年2月、徳里氏が全国会の審議の場で動議を出して設置を求めるも、出席した45都道府県による投票の結果、8対37の賛成少数で否決となった。賛成は九州8県だった。

 現在、全国会の関係団体として豪雪や離島振興などに関する協議会がそれぞれ存在する。これらと同様に、米軍基地が所在する町村議会が連携し、基地から派生する問題の情報共有や課題解決を図ることが基地関係協議会設置の狙いだ。

 ただ、全国会では15年に日米地位協定見直しに関する特別決議が出されたこともあって、徳里氏は「基地関係協議会の議論が、地位協定を見直すための組織を立ち上げるような話になってしまった面があった」と振り返る。現会長の識名氏も「日米安保や日米同盟に反対しているという誤解もあったようだ。それを払拭(ふっしょく)できるようにやっていきたい」と説明する。

 11月13日の県町村議会議長会の臨時総会では、改めて設置を求める上で「実現させる方法を掘り下げて考える必要がある」(副会長の石川博己・本部町議会議長)との意見も上がった。前回の反省を踏まえ、全国の関係町村に直接足を運び、立ち上げに理解を求めることも検討する。

 苦い経験を乗り越えられるか。まずは来年1月に那覇市で開かれる九州ブロック会議で、設置に関する要望が採択されることが、2度目の“挑戦”の礎となる。