石垣市自治基本条例 廃止提案、条例に違反か 野党「審議会設置が義務」


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
石垣市役所

 【石垣】沖縄県石垣市議会与党の自民会派議員らが市自治基本条例の廃止条例案を提案した件で、今回の廃止提案は必要な手続きを踏んでいない条例違反の可能性が指摘されている。同条例43条が条例の「見直し」規定として、審議会の設置・諮問を義務付けているためだ。条文には「廃止」という直接的な文言はないものの、野党側は「見直しには当然、『廃止』も含まれる」として追及する。市当局も廃止の際の手続きについて「庁内の議論と合わせて審議会における議論、市民参画手続きなどを経る」との見解を示している。

 43条1項は「市は、5年を超えない期間ごとに、この条例が社会情勢などの変化に適合したものかどうかを検討し、市民の意見を踏まえて、この条例の見直しを行い、将来にわたり充実発展させる」とした上で、同2項で「見直しに当たっては、審議会を設置し、諮問しなければならない」と定めている。

 13日の市議会議会運営委員会で廃止条例案提案者の石垣亨氏は43条について「主語は『市』だ。市議会には当たらないと理解している」と述べた。一方で、条例の逐条解説では「市」について「議会を含めた基礎的な自治体を意味する」としており、これによると「市」には市議会も含まれることになる。

 12日の市議会一般質問で市の担当課は、市当局が条例廃止を検討する場合の手続きについて「庁内の議論と合わせて、審議会における議論、市民参画手続きなどを経て廃止が必要だとの結論になった場合に、廃止条例案を議会に提出することになる」との認識を示した。

 野党の内原英聡氏は「見直しでも審議会設置が義務付けられているのに、廃止であればそれ以上に手続きが必要なのは当然だ。議員提案の場合でも、市民からの意見聴取など市当局と同様に丁寧な手続きを踏まないといけない。今回の提案はあまりにも拙速すぎる」と批判した。