石垣市自治基本条例廃止提案 市議会が否決 賛成10、反対11


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
自民会派議員らが提案した石垣市自治基本条例案を賛成少数で否決した市議会=16日、市議会

 【石垣】石垣市議会与党の自民会派議員らが提案した市自治基本条例の廃止条例案について市議会(平良秀之議長)は16日の市議会12月定例会最終本会議で採決を行い、賛成10人、反対11人の賛成少数で否決した。賛成が過半数だった場合、全国で初めて自治基本条例を廃止する異例の事態だったが、鍵を握った与党内の非自民系議員の賛同を得ることができなかった。ただ、自民会派は来年3月定例会にも現行条例に代わる新たな条例案を提案する構えだ。

 採決では廃止条例提案・賛成者の自民会派議員ら9人に加え、与党の非自民系会派「未来」の1人が賛成した。野党の9人と与党の公明1人、未来1人が反対した。採決の鍵を握っていた与党の非自民系議員3人のうち、2人が反対した。

 16日の本会議では廃止条例案の採決を前に、野党議員の質疑に対する提案者の石垣亨氏の回答を巡って紛糾した。賛成討論に与党4人が立ち、廃止理由の正当性を強調。反対討論した野党7人は自治基本条例の意義を訴えた。傍聴席には多くの市民が詰め掛けた。

 議会閉会後、中山義隆市長は廃止条例案否決について「本議会における採決結果を尊重したい」と文書でコメントした。

 「自由民主石垣」会派長の砥板芳行氏は取材に対し「準備不足で否決されたが、問題点を放置するわけにはいかない。(来年)3月定例会で今の条例に代わる条例案を提案したい。公明や未来にも理解を得て進めたい」と述べた。

 新たな条例案については、現行条例を基にした上で条例上の「市民」の対象を限定するほか、住民投票の請求に対して議会議決の必要性を明記したり、県や国の政策に関する事項を実施対象から除外したりする方針を示した。新たに性的マイノリティーの観点なども盛り込みたいとした。

 自治基本条例を巡っては、市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の請求団体が、条例の規定を投票実施の根拠にしていることから注目が集まった。

 与党議員のみで構成される同条例に関する調査特別委員会が11月下旬に廃止すべきだと結論付けた。野党は廃止理由の説明が不十分などとして反発したが、自民会派議員らは廃止条例を提案した。この提案については、市民からも反発の声が強まっていた。