首里城火災発生時、数分間モニター監視せず 警備員、仮眠中の同僚起こさず現場確認に


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記者の質問に図示しながら答える沖縄美ら島財団の古堅孝常務理事=17日午後4時すぎ、那覇市(ジャン松元撮影)

 沖縄県那覇市の首里城火災で、首里城を所有する国、管理する県、沖縄美ら島財団が17日、首里城公園内で記者会見し、火災発生当初、正殿内の人感センサーが作動した際、奉神門にいた警備員が仮眠中の同僚を起こさずに現場確認に行ったため、ルールで定められていたモニターの常時監視をしていない時間が数分間あったと明らかにした。119番通報したのは人感センサー作動から約6分後で、同僚を起こしてモニター監視をしていれば、通報が早まっていた可能性がある。

 財団と警備会社の間で定めたルールでは、警備員は奉神門のモニター室に常駐し、常に正殿内外に設置した防犯カメラの映像などを監視しなければならない。

 今回の火災で警備員は当初、人感センサーの作動を不審者の侵入と思ったことから、同僚を起こさずに現場付近の警戒に行った。ただ、正殿内に充満した煙を見て火災と気付き、奉神門に戻って同僚を起こした。この際も「走った方が早い」と、持参したトランシーバーは使用しなかったという。財団の古堅孝常務理事は「数分間とはいえ監視していなかったことは反省すべき点だ」と語った。

 また、人感センサーは正殿の各入り口に設置されていたが、どのセンサーが作動したかは監視室でも分からない仕組みだったといい「設備が適切だったか、今後検証する」とした。

 財団側は13日の県議会土木環境委員会で、これまで夜間の火災を想定した訓練を一度も実施したことがなかったことも明かしていた。古堅常務理事はこの点も「反省すべき点だったと考えている」と述べた。

 琉球新報のこれまでの取材で、正殿周辺に設置された4基の放水銃のうち、正殿裏の1基はふたを開ける工具がなく、使用できなかったことが分かっている。

 沖縄総合事務局国営沖縄記念公園事務所の鈴木武彦所長は、御内原エリア整備に伴い放水銃を設置した際に、景観に配慮するため、工具を取り付けて開けるタイプの収納ぶたにしたと説明した。「使用できなかった事実を受け止め、見直すべきところは見直す」と述べた。

 財団によると、火災後の11月3日から今月15日までの入園者数は18万1409人で、前年同期と比べて5割以上減った。鈴木所長は「現状の公開を望む声がある。安全を確保した上で、焼失した有料区域の公開も検討したい」と語った。