本番思い、高鳴る胸 沖縄県内聖火ランナーたちが決意


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
聖火リレーでは「一歩一歩をかみ締めたい」と語る譜久里武さん=17日、浦添市陸上競技場

 東京2020オリンピック聖火リレー沖縄県実行委員会が選定した聖火ランナーが17日、発表された。県勢アスリートではJリーガー徳元悠平(24)やプロゴルファー諸見里しのぶ(33)、マラソンで五輪出場を目指していた濱崎達規(31)らが選出。ランナーたちは当日に向けて早くも胸を高鳴らせ、トーチを手に県内を駆ける瞬間を思い描いている。選定された44の個人、グループの内訳は15が通過市町村からの推薦枠で、29は公募により決定した。47人の内訳は男性30人、女性17人。公募には2106人(男性1443人、女性663人)が応募した。地域活動や文化活動にまい進する人、学生アスリートなど多様な分野から選ばれ、最年少は17日時点で12歳、最年長は94歳だった。

■バトンをトーチに 譜久里武さん(マスターズ陸上)

 バトンをトーチに持ち替え、夢をつなぐ―。マスターズ陸上M45(45~49歳)400メートルリレーの世界記録保持者、譜久里武さん(48)=那覇市=は公募で選ばれた一人。競技歴30年。若い頃は五輪出場を目指したが、及ばなかった。「憧れの舞台に参加したかった」。興奮を抑えきれず、今にも駆け出しそうだ。

 自身のキーワードは「沖縄から世界へ」。一人一人がトーチをつなぎ、世界最高峰の舞台へ炎を届ける聖火リレーと思いを重ねる。五輪は別名・平和の祭典。「スポーツは平和があってこそ。沖縄から平和、スポーツをひっぱりたい」と決意を新たにする。

 40代での100メートルベストは10秒87で、当日の割り当ては200メートルほど。「全力で走ると数秒で終わっちゃう。一歩一歩、味わいたい」。“TOKYO”へとつながる道を踏みしめるその日を、待ち焦がれている。 (長嶺真輝)

■沖縄の風を乗せて HY

東京五輪の聖火ランナーに選ばれたHYのメンバー(左から)新里英之、許田信介、仲宗根泉、名嘉俊

 東京五輪聖火リレーのランナーにうるま市出身のバンドHYの新里英之、許田信介、仲宗根泉、名嘉俊さんが選ばれた。4人は17日、「聖火リレーに参加できてとても光栄。みんなのすてきなオリンピックになるように、沖縄の風を乗せて聖火をつなげていきたい」とコメントを発表し、展望を広げた。

 名嘉さんは来年2月16日に開催されるおきなわマラソンで、ゲストランナーとして初のフルマラソンに挑戦する。本番に向けてランニングや腿の筋肉を鍛える運動に取り組んでおり、練習の成果が聖火リレーで発揮されそうだ。

■感謝の気持ちで 友利晟弓さん(伊良波中3年)

「感謝の気持ちを持って走りたい」と聖火リレーへ向けて意気込む友利晟弓=17日、豊見城市の伊良波中学校グラウンド

 「一生に一度あるかないかの機会。まだ信じられない」。県内中学投てき界で敵なしの友利晟弓さん(伊良波中3年)は、聖火ランナー選出の一報に驚きを隠せなかった。「感謝の気持ちを持って、笑顔で走り切りたい」と気合は十分だ。

 豊見城市から推薦を受け、選出に至った。円盤投げと砲丸投げ、2種目の県記録を持っている。どの種目も全国中学ランキングで上位にいる実力者だ。

 あこがれの選手は、アテネ五輪陸上男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治さん。「本当にすごい」と豪快なスイングに魅了された。2024年のパリ五輪出場も夢見ながら、練習に打ち込んでいる。「見ている人に笑顔を与えられる選手になりたい」。来年は聖火ランナーとして、五輪デビューを果たす。(喜屋武研伍)

■応援の人たちを見ながら 亀濱敏夫さん(県内最高齢聖火ランナー)

「応援してくれる人たちの顔を見ながら走りきりたい」と話す亀濱敏夫さん

 県内聖火ランナーで最高齢の亀濱敏夫さん(94)=写真。戦後間もない1947年に陸上競技を始め、現在まで走り続けてきた。来年の聖火リレー出走について「200メートルはきっとあっという間だと思う。競争というわけでもないので、余裕もある。応援してくれる人たちの顔を見ながら走りきりたい」と笑顔で話す。

 亀濱さんは現在100メートル、200メートル、400メートルをメーンにして、マスターズにも出場を続けている。毎日約2時間かけ、10キロ以上の距離を歩いたり走ったりしており、体力づくりに余念が無い。

 聖火リレーへの出走は推薦で、県から連絡をもらったという。「自分も走るので、オリンピックの陸上はもちろん毎回見ている。聖火リレーをちゃんと走りたい」と語った。