新報短編小説賞、佳作に新里健一郎さん 正賞は該当なし イランが舞台の「大麻とコーラと斬首刑」


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新里健一郎さん

 第47回琉球新報短編小説賞の最終選考会がこのほど東京都内で開かれ、佳作に新里健一郎さん(52)=那覇市、公務員=の「大麻とコーラと斬首刑」が選ばれた。正賞の該当作はなかった。正賞が出なかったのは2015年の第43回以来、4年ぶり。今回は32編の応募があり、10編を対象に2次選考が行われ、4編が最終選考の候補となった。

 「大麻とコーラと斬首刑」は、天然ガスの液化プラント建設事業が進むイランが舞台。同事業の従業員宿舎を建設するための現地事務所へ所長として赴任した日本人と、現地で雇われた沖縄出身の現場監督らが登場し、多様な国籍の労働者たちとの物語を描いた。

 芥川賞作家の又吉栄喜氏、文芸評論家の湯川豊氏、元琉球大学教授で詩人・作家の大城貞俊氏が最終選考を行った。選考では「国境を超えて人を理解し信頼するグローバル社会への提起になった」(大城氏)、「現地の人とのやりとりにリアリティーがある」(又吉氏)、「人物を語るエピソードにもう一歩力強いものが不足している」(湯川氏)などの意見が出た。佳作に選ばれた新里さんは「身に余る光栄。望外のことで、想像もしていなかった」と語った。

 贈呈式は20年1月28日午後6時、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれる。