県立高の養護教員に重い業務負担 生徒の看護に健康診断の準備…業務多岐にわたる 1人で1000人超担当も 基準満たない学校は5校


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 全国で養護教諭の重い業務負担を減らすために定員増を求める声が高まっており、沖縄県内でも同様な声が上がっている。文部科学省は養護教諭の配置について、在籍する生徒数が801人以上の中学・高校は養護教諭を複数配置するという基準を定めているが、その基準を超えている県立高校21校のうち5校は1人しか配置していない。そのうち1校は在籍千人を超える中高一貫校で、高校の養護教諭が中学校も兼務している。基準を超えた高校では業務の負担が大きいとして、現場の教員らが適切な配置を求めている。

 県立高校は60校あり、文科省は基準にのっとって養護教諭94人分の予算を県に配分。県では98人の定数を確保し、そのうち休職者を除いた88人が現場に配置されている。

 県内では複数配置が実現していない学校が5校ある一方で、800人未満でも複数の養護教諭を配置している学校が4校ある。県教育庁学校人事課は「各校の実情に合わせながら、定員内で調整している」とした上で「保健室に来る生徒が通常より多い学校では基準数以下でも多く配置している」と話した。

 養護教諭の業務は保健室に来る生徒の看護や相談への対応に加え、各種健康診断の準備・集計、事務報告書の作成など幅広い。

 文科省の担当者は「(801人以上とする)基準自体の引き下げを求める声も出ている」と現状を語り、「千人以上の生徒を一人で抱えるのは相当な負担のはずだ」と驚いた様子で語った。

 さらに学校教育法は小中学校で養護教諭の配置を義務づけているが、高校は「配置することができる」として配置義務はない。

 これらの必置義務や複数配置の基準を中高一貫校に照らし合わせると、在籍千人以上の学校では3人の養護教諭の配置が可能となるはずだ。

 しかし県立中高一貫校の3校はいずれも養護教諭が高校に配置され、併設された中学校の養護教諭を兼務しており、現場からは「必置義務のある中学校にも配置するべきではないか」との意見がある。

 文部科学省の担当者は「中高一貫校の場合、配置が義務づけられている中学校に配置し、高校を兼務すると考えられる。しかし設置者である自治体の判断に任せるため、一概に義務違反であるとは言えない」と答えた。