持続可能な観光地づくりとは… 国連世界観光機関から提言 懸念は乱開発


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乱開発が進まないような規制の枠組みの必要性を指摘する国連世界観光機構(UNWTO)駐日事務所の本保芳明代表(右)と県文化観光スポーツ部の新垣健一部長=19日、那覇市の琉球新報ホール

 県文化観光スポーツ部は19日、沖縄観光推進ロードマップシンポジウム「沖縄観光の未来」を那覇市の琉球新報ホールで開催した。国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所の本保芳明代表と県文化観光スポーツ部の新垣健一部長が講演し、世界の取り組みを通して持続可能な観光地づくりを考えた。本保氏は、日本では乱開発を防ぐきちんとした法整備ができていないと指摘し「枠組みがないままに開発が進むと結果として乱開発になり、自然や文化遺産を破壊してしまうかもしれない」と懸念を示した。

 1日当たり消費額の増加について、沖縄を訪れた観光客満足度を基に「どれも高い水準だが、やや満足度が低い食事と土産品について改善すれば消費額が向上すると思う」と指摘した。

 SDGs(持続可能な開発目標)に関して、世界的な動向として「観光政策の中心に住民を置くようになっている」と紹介。「その地域に必要なものは地域によって違う。ステークホルダー(利害関係者)が議論して、自分たちにとって大事なものを把握して対策をしていくことが求められる」と述べた。

 会場から、乱開発を防ぐためのゾーニングについて質問が出た。本保氏は「猛烈な反発が出て行政にとっては難しいが、自然が破壊され取り戻せなくなる前に早めに手を打つことが必要だ。観光だけでなく、都市計画を含めた全庁的な問題としてやらなくてはならない」と答えた。