山田 自信深め栄冠 努力結実 強さ進化へ レスリング全日本選手権


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グレコローマンスタイル63キロ級決勝 相手の腰をがっちりとホールドし、ローリングを決める山田義起(赤)=21日、東京都の駒沢体育館

 東京五輪代表選考を兼ねたレスリングの全日本選手権第3日は21日、東京・駒沢体育館で行われ、男子グレコローマンスタイルで、非五輪階級の63キロ級決勝で山田義起(浦添工-日体大)が石川(拓大)を破り優勝した。

 浦添工高時代、一度も全国の舞台を踏めなかった山田義起が4年間で日本一まで登り詰めた。進学時は、出場自体が目標だった全日本の舞台。「まさか4年後に優勝するとは思わなかった」。爽やかな笑顔と胸の金メダルがまばゆいばかりに光った。

 決勝は得意の腕取りを警戒され、序盤は攻めあぐねた。開始1分半、パッシブで先行されたあと、逆立ちのような状態まで腰を持ち上げられたが、踏ん張って逆に相手を下に引きずり込み、覆いかぶさった。ローリングで逆転し、第2ピリオドも同じ技で得点を重ね、テクニカルフォール勝ちを収めた。

 「センスがないから地味だけど」と謙遜するが、重圧をかけ続け、ローリングで決めるのは練習で地道に繰り返した勝ちパターン。大学では練習後、後輩相手に技を何度も確認し、オフの日も筋トレに励んだ。

 「高校の時の成績だと、普通は大学では続けられない」と、進学を後押ししてくれた両親への感謝が原動力だ。覚悟を持って日々の練習に臨み、4年間で一番変わった点を聞かれると「自信です」と即答した。

 次の目標は2024年のパリ五輪出場。今年は海外大会も経験し「まだ世界で戦えるには不十分」と肌で感じた。「体力、筋力をあと2段階、3段階上げる。4年で日本一になったので、次の4年でも成長したい」。深めた自信が、山田をさらに強くする。 (長嶺真輝)