屋比久翔平、攻めて完勝 レスリング全日本選手権V 度重なる屈辱が高みへ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 レスリングの天皇杯全日本選手権最終日は22日、東京都の駒沢体育館で男女計7階級の決勝を行い、東京五輪実施階級のグレコローマンスタイル77キロ級で屋比久翔平(浦添工高―日体大、日体大大学院出、ALSOK)が2年ぶり4度目の優勝を果たした。

 成長の証とも言える後半に挙げた「1点」で、東京五輪予選への出場切符をたぐりよせた。対戦相手の桜庭には昨年の準決勝、ラスト3秒での投げ技で逆転負けを喫した。今年9月の世界選手権では初戦敗退の悔しさも味わった。「練習内容は変わらないけど、ラスト30秒でもう一つ取る意識が変わった」。この1年間で味わった度重なる屈辱が、屋比久翔平をさらなる高みへと押し上げている。

 前半で得点を重ね、後半も攻めて勝ちきる「自分の形」を体現した優勝戦だった。第1ピリオド、パッシブで先制し、ローリングで2点を追加。第2ピリオドも圧力をかけ続け、場外に押し出して1点を加え、4―0とリードを広げた。終盤で積極性を増した相手にも動揺することなく攻め続けての完勝だった。

 今年の世界選手権は前半に3点を先制され、後半に1点を加点されて2―4で敗れた。「世界選手権でやられたことを、今回は自分がやった」。負けを力に変える貪欲さが、盤石な形を確立させた。

 アジア予選に向け、このスタイルをさらに磨き「1番になる」と決意を固める。目指すはその先にある東京五輪、そして表彰台のてっぺんだ。「しっかりやることをやって、五輪でメダルを取りたい」。そう語る表情は、自信に満ちあふれていた。
 (長嶺真輝)