住宅密集地の住民が考えた避難経路とは… 危機感が生んだ知恵 那覇市繁多川地区の取り組み


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
古謝昇さん(左)宅に緊急避難路・救助路の表示を設置する繁多川自治会の新田勇会長=20日、那覇市繁多川

 那覇市繁多川で災害時に私有地を通れるようにして緊急避難路・救助路を確保する取り組みが進んでいる。繁多川公民館、那覇市地域包括支援センター繁多川、繁多川自治会の地域3団体に琉球大の清水肇教授が協力して進めている。2016年から繁多川1丁目、2丁目で避難路を確保し、今年は4丁目で確保した。

 繁多川は住宅が密集し、災害時にはブロック塀の倒壊などにより緊急車両が入れなくなる可能性がある。公民館、地域包括支援センター、自治会による「繁多川地域計画」作りのワークショップで、住民から防災面の不安を指摘する声が上がり、避難路・救助路確保や地区防災計画策定を目指すことになった。

 今年は7月に地図を見ながらの話し合いやフィールドワークを経て避難路・救助路を調査した。板良敷朝栄さん(69)、古謝昇さん(79)宅の敷地を避難路として活用できることになった。12月20日に避難路であることを示す表示を設置した。市の公認であることを示すため、看板は地域の3者と市の連名にした。

 板良敷さんは「避難路を考える取り組みを通して身近に支援の必要な人がいると気付いた。近所同士で助け合えるよう防災意識を高めたい」と話した。

 清水教授は「繁多川をモデルにこの取り組みを真和志地域全体に広げたい。住民だけではできないこともあるので、できれば行政にもサポートしてもらえたらいい」と話した。

 公民館など関係者は20年1~2月ごろに避難路を使って避難訓練を行う予定。20~21年ごろに地区防災計画の策定も目指す。

 公民館の南信乃介館長は「避難訓練を経て隣近所の関係を築き、実効性のある防災計画を作りたい」と話した。