待ってろ!トーキョー!! 〈憧憬の舞台へ〉 2020東京五輪


この記事を書いた人 問山栄恵

 東京五輪・パラリンピックイヤーがついに幕を開けた。夏季五輪の東京大会は56年ぶり。幾多の壁を乗り越え、最高峰の舞台への挑戦権をつかみ取った世界中のトップアスリートたちが、国内に集結する日は近い。挑戦、雪辱、復活―。自らの限界に挑み、憧れの地を目指す県勢の選手たちも、固い決意を胸に情熱をたぎらせている。

勝負勘の強さひときわ 男子ハンドボール・東江雄斗

 32年ぶりに五輪へ出場するハンドボール男子「彗星(すいせい)ジャパン」で司令塔の役割を期待される存在だ。小学生のころに思い描いた「日本代表のポイントゲッター」という夢を実現した。東京五輪本番まで残り7カ月。「体力、技術、知識、メンタル、全てをレベルアップさせないといけない」

 ハンドボール一家の次男という環境以上に、貪欲(どんよく)な向上心で学生時代に全国の頂点を経験。「相手守備をうまくだませた時は気持ち良い」。勝負勘の強さと巧みなフェイントがひときわ目を引く。
 
 チームスポーツのため、五輪代表内定はまだ先だが「その方が切磋(せっさ)琢磨(たくま)できる」と真剣なまなざしで語る。海外勢のフィジカルの強さをはね返すには「全員が勝ちたい姿勢を60分出し続けることが大事」。マインドセットはできている。

  文・嘉陽拓也
  写真・大城直也
 

東江雄斗 1993年7月6日生まれ、浦添市沢岻出身。興南高、早稲田大出。日本ハンドボールリーグの大同特殊鋼所属。身長182センチ。

メダル有望選手へ名乗り 走り幅跳び・津波響樹

 男子陸上走り幅跳びで「TOKYO」の空へと駆け上がる―。身長168センチと小柄ながら、抜群のばねを生かしたスプリント力を武器に、昨年8月のナイトゲームズ・イン福井で日本歴代4位の8メートル23を記録。東京五輪の参加標準記録8メートル22も突破した。まさに一躍、入賞、メダル有望選手へと名乗りを挙げた。

 東洋大に進学後、100メートルで日本人初の9秒台をマークした2学年先輩の桐生祥秀らと鍛錬を積み、助走スピードに磨きをかけた。100メートルの自己ベスト公認記録は10秒47だが、これは大学1年時の記録で「今はもっと速い」。走り幅跳び日本記録の8メートル40を超える「8メートル40~50は絶対出る」と自信をみなぎらせる。

  昨年10月には県勢として初めて世界選手権に出場。大舞台ならではの緊張感にのまれ、不本意な7メートル72で予選敗退したが「貴重な経験ができた。東京に生かせればいい」と力に変える。表彰台への“大ジャンプ”に期待が懸かる。

  文・長嶺真輝
  写真・大城直也

津波響樹 1998年1月21日生まれ。豊見城市与根出身。那覇西高、東洋大。168センチ。

 

晴れ舞台で屈辱期す 男子重量挙げ・糸数陽一

 4年前の喜びは、日がたつにつれて悔いに変わっていった。五輪初出場だった2017年リオデジャネイロ大会の重量挙げ62キロ級で4位入賞を果たした。「リオは試技6本全てを取り、内容には満足したが、メダルという結果が欲しい。東京は悔しさを全てぶつける場だ」。晴れの舞台で、雪辱を期す。

 リオでのトータルは302キロ。今は階級の区分変更で61キロ級となったが「スナッチがあの頃より記録も感覚も断然いい。ジャークも4年前の記録に近づけていきたい」と目標を305キロに置く。現在28歳。近年はけがに悩まされ続けているが、練習の質や食事メニューを改善し、屈強な体づくりに励む。

 かつて「重量挙げ大国」と目された日本男子だが、1984年のロサンゼルス大会を最後に五輪でのメダルはない。近年は女子が三宅宏実らの活躍で注目される中、「男子も頑張っているとアピールしたい」と意気込む。日本男子の復権を担うエースとしての自覚で自らを奮い立たせている。

  文・長嶺真輝
  写真・大城直也

糸数陽一 1991年5月24日生まれ。南城市の久高島出身。豊見城高、日大出。警視庁所属。身長160センチ。

五輪出場は最大の目標 女子3人制バスケ・伊集南

 日本女子バスケットボールリーグ(Wリーグ)、デンソーアイリスの副主将として活躍しながら、3人制バスケ「3×3」で五輪出場を目指している。「五輪出場は最大の目標。可能性があることに挑戦しないということは、ありえない」と、バスケ人生を懸ける。

 NBAに影響を受けたことで「バスケは人を魅了するもの」と考える。学生時代からプレーの即興性が高いと評価されており、個人技が重視される3人制で能力が生きている。

 昨年5月のアジアカップでは3位入賞に貢献し、大会ベスト3にも選ばれた。「超攻撃的なプレーを続けられる日本の機動力は強い」と、体格で勝る海外勢に引けを取らない。実績を積んで代表選考の足固めをする中で「3月の五輪予選が重要。本番前から日本の強さを海外に見せつけたい」と、闘志を燃やしている。

 文・嘉陽拓也
 写真・新里圭蔵

伊集南 1990年10月3日生まれ。八重瀬町具志頭出身。糸満高、筑波大出。女子バスケットボールのデンソーアイリス所属。身長168センチ。