沖縄県、仲村さん入学困難視 重度知的障がい者の普通高校受験 19年度「制度設計に準備かかる」


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 重度知的障がいのある仲村伊織さん(16)が県立高校の入試で2年連続不合格になっている問題で、県議や県内の市町村議員でつくる「自治体議員立憲ネットワークおきなわ」は26日、県教育庁との意見交換会を県議会で開いた。県立学校教育課の玉城学課長は「制度設計に準備がかかるので本年度からというのはなかなか(できない)」と述べ、事実上、来年3月の高校入試で仲村さんを合格させるのは難しいとの見解を示した。平敷昭人県教育長も「募集要項の部分も関係している」と同調した。

 県教育庁は学校教育法や同法施行規則などを示し、「重度知的障がいのある生徒に対して、法令上、その特性に応じた教育課程を編成できないことから、小中学校の特別支援学級で行われている特別の教育課程を用いた指導ができない」と説明した。

 意見交換会には、仲村さんの両親や小中学校で仲村さんを受け入れてきた北中城村の川上辰雄元教育長らも出席。東京や大阪、千葉などでは重度知的障がいがあっても普通高校に入学できていると指摘し、「法令上できない」とする教育庁の姿勢を問題視した。教育庁側は「2年前に大阪を調査したが十分ではなかった」として、年明けに再調査することを明らかにした。

 東京や千葉などで障がい者の高校入学を支援している佐藤陽一さん=千葉県=は「障がいを理由に入学を拒否するのは違法だという判例があり、ほかではあり得ない対応だ」と、県教育庁の見解を批判した。

 意見交換会後、仲村さんの父・晃さん(53)は「(県教育庁は)仕組みばかりを気にし、子どもの成長を忘れている。本人が手を上げて行きたいと行っているのに、しょうがないで片付けていいのか」と話した。