「その場所は紛れもなく沖縄」 HY仲宗根泉、〝家族〟との再会誓う ツアーが与えてくれたものは…〈南米紀行〉下


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 うるま市出身のバンド、HYの新里英之(ギター・ボーカル)、仲宗根泉(キーボード・ボーカル)、名嘉俊(ドラム)、許田信介(ベース)の4人は11月8日から10日にかけて、ブラジル、ペルーで南米ツアーを開いた。公演の模様を仲宗根に寄稿してもらった。今回はペルー・リマ市での出来事をつづった。

ペルーでのライブを成功させたHY=11月10日、ペルー・リマ市

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 11月9日、ペルー・リマ市に着くと、ブラジルと同じようにたくさんの方々が空港で待っていてくれて花までいただいた。一息つく間もなくこちらでもまた慌ただしく車に乗り込み、今夜演奏する予定の祭り会場へと急ぐ。意外にもペルーは、春だというのに、沖縄の冬のような寒さで少々、びっくりした。

 夜、ステージに私たちの名前が響く! 「沖縄から来てくれたHYー!」。ペルーの言葉も分からない私たちだが、きっとそんな風に呼んでくれて、元気に舞台へと上がり、7曲ほど歌わせてもらった。ペルーの方々も温かい人たちばかりで、みんな身ぶり手ぶりでライブを楽しんでくれていたようだった。

 ライブが終わる頃、時刻は午前0時を過ぎているのに、鮮やかで盛大な花火が上がった。翌日のライブもきっと素晴らしい日になる。そう感じた夜だった。

 ワンマンライブ当日の10日。まだ私は時差ぼけが抜けずにいたが、南米ツアー最後になるこの日に胸が躍っていた。ライブが始まると、やはりペルーでもたくさんのおじぃ、おばぁが来てくれて、沖縄の三線を聴き、はやしを歌い、みんなでカチャーシーを踊っていた。その場所はもう紛れもなく沖縄だった。

 行きたくても、行けない沖縄。会いたくても、会えない人。さまざまな思いを胸に、ライブを楽しんでくれていることがここでも、伝わってきて、胸がいっぱいになった。南米ツアーが終わり、帰りの飛行機の中で熱い感情が込み上げる。

 また、会いにいくよ。それまで元気でね。ブラジルの家族、ペルーの家族、みんな、ありがとう。

 南米ツアーは、私にとってまた、何かのきっかけになるものを与えてくれた気がする。 (HYキーボード・ボーカル)