那覇空港第2滑走路の運用開始がカギに 経済記者がみる2020年沖縄経済の展望は


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 2020年の沖縄経済の展望を経済記者が話し合った。

座談会参加者
 平安太一(経済キャップ)、沖田有吾(金融・エネルギー)、外間愛也(商工労働・IT担当)、中村優希(観光担当)、石井恵理菜(農林水産担当)

 平安 2020年はどのような1年になるか。

 沖田 基幹産業の観光は自然災害や政治的な問題に左右されるリスクは軽視できない。東京五輪の開催で訪日客は増えるだろうが、沖縄までどの程度周遊するかだ。個人消費は消費増税を境に勢いが落ちている。若い世代には経済が成長し、自分が豊かになるイメージが抱きづらい。企業は正規雇用の増加や給与体系の整備などで従業員が安心して消費できるようにしないと、経済全体が縮小する。

 中村 19年が厳しい年だったと感じている観光事業者が多く、その環境がしばらく続くだろう。韓国客の回復と首里城の再建作業、那覇空港第2滑走路の運用開始でどれだけ路線が増えるかがポイントになる。課題は多いけれど長期的には沖縄観光は拡大を続ける。数だけでなく、観光の質を上げることに軸足を移していく必要がある。

 外間 中小企業の関係者からは「景気がいいのは大手だけ」との声がたびたび聞かれる。大手企業は好調でも、下支えする中小企業の景況が弱含んでいると、長期的な見通しは明るいと言えない。

 平安 20年も県経済の拡大が続くという見方がある一方で、高騰を続けてきた土地取引価格に変化が出てきたと指摘する声も聞こえてくる。那覇空港の滑走路増設は明るいニュースとなる半面、ホテルや商業施設の開業は続いて企業間の競争は激化する。20年が沖縄経済の転換期となる可能性もある。

 石井 1月1日に日米貿易協定が発効され、米国産の牛豚肉などの関税が大きく下がる。既に発効した環太平洋連携協定(TPP)や経済連携協定(EPA)の影響も徐々に出てくるとの見方がある。国内農業を取り巻く環境の激変に、県内関係機関がどのような対策を講じ、農家の不安を払拭(ふっしょく)できるか注目したい。