安全な食が家族を守る 遺伝子組み換え食品の危険性訴え


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講演会「沖縄の食を考える」で食の安全について話すゼン・ハニーカットさん=12日、那覇市の県立博物館・美術館

 家族の健康を守ろうと農薬や遺伝子組み換え食品へのノーを訴え活動する米国のゼン・ハニーカットさんを招き、食の安全を考える講演会が12日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。種子条例制定を求める「沖縄の食と農を守る連絡協議会」が主催した。

 ハニーカットさんは市民団体「マムズ・アクロス・アメリカ」を設立し、全米各地の母親たちと遺伝子組み換え食品や農薬の危険を訴えている。今回の来日では東京、北海道、広島など各地で講演し、7カ所目で沖縄に足を伸ばした。

 遺伝子組み換え技術は、除草剤や病害虫への耐性を高めるよう遺伝子を操作する。除草剤耐性がある作物は農薬を散布されても枯れず、雑草だけを除くことができるため農作業を省力化できる。除草剤に含まれる化学物質グリホサートについて米環境保護局は「発がん性は低い」とするが、米国内ではがんを引き起こしたとする判決が出され、これを含む農薬を開発した企業が賠償金を命じられた。

 ゼンさんは息子のアレルギー発症を機に食に関心を持った。遺伝子組み換え食品を避けると体調が改善したといい「自分の家族だけでなく、将来の結婚相手にも健康でいてほしい」「私も変化を起こす一人になれる」と食のあり方を変える社会運動に踏み出した。

 グリホサートを含む農薬はダイズやトウモロコシなどの作物に直接散布され「洗っても料理しても落ちない」とゼンさん。2013年に調査すると水道水や尿、母乳からもグリホサートが検出された。農薬を使わない有機食品に切り替えると息子の尿からは検出されなくなったという。

 遺伝子組み換え作物は油脂、家畜の飼料にも使われている。多くの団体が検査を続けた結果「ワイン、パン、スナック菓子や卵、ベビーフードからも検出された」と報告。これらががんや心臓病の原因になり、医療費増大にもつながると懸念。残留量の検査、遺伝子組み換え食品使用の表示などを政府に求めて「日本を守って」「日本が変われば世界も変えられる」と訴えた。