口唇口蓋裂治療 どの子にも


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
ラオスでの医療支援で口唇口蓋裂の患者を手術する琉球大学医学部の医療チーム。左は砂川元名誉教授=2017年12月(提供)

 琉球大学医学部歯科口腔外科の医療チームは、ラオスで先天的に口が変形する口唇口蓋(こうがい)裂の患者を無償で治療する医療事業に2002年から取り組んでいる。治療できず放置した結果、摂食や発音の問題を抱え苦しんできた患者や家族を救済してきた。06年から渡航し、継続してきた活動で347人を手術した。昨年12月22日には17回目の支援に向かった。

 医療援助は日本口唇口蓋裂協会の要請を受け事業がスタート。チームは琉大の砂川元名誉教授を中心に医師や看護師らが参加している。

 口唇口蓋裂は唇や歯茎が裂ける病気で日本では500人に1人の頻度で生まれるという。発展途上国のラオスでは手術費を確保できない世帯が多いだけでなく、口唇口蓋裂の手術ができる医師がいなかったことから、長年手術を受けることができない患者が多く存在した。砂川医師によると、患者は外見を気にするあまり学校を避け、言語機能の問題も重なり教育を平等に受けられなくなる状況に陥る傾向にあるという。

 砂川医師は「命に関わる病気ではないが、成人まで続く。治療によって子どもたちが健やかに成長するための壁を取り除くことが重要だ。それを手伝えることに責任と喜びを感じている」と話す。チームは医療のほか、ラオスの子どもたちに歯磨き指導や地域で歯科保健衛生活動なども展開してきており、教育や福祉の分野で課題をなくすため力を尽くしている。
  (謝花史哲)